ビジネス

スーパーがメーカーから仕入れる既製品を激安で売るカラクリ

スーパーには複雑な値段のからくりが存在する

 我々の食生活を支えるスーパーの食料品。消費者としては安く買えるに越したことはないが、なかには「どうしてこんなに安くなるんだろう」と首を傾げてしまう商品も少なくない。

 さすがにメーカーから仕入れる既製品は、仕入れ原価で値段が全て決まってしまうように思いがちだが、実際はもっと複雑なカラクリがある。ショッピングアドバイザーの今野保氏が解説する。

「『砂糖』『牛乳』『卵』の3つの生活必需品は、その色から『三白』とも呼ばれ、特売の目玉にすることが多く、原価ギリギリか赤字覚悟で販売している。つまりこれらは“客寄せ”なんです」

“1000円以上お買い上げのお客様のみ卵99円”といった「セット売り」は、特売戦略の基本である。これにこそスーパーの“値付け技術”が詰まっているという。

「たとえば通常200円以上するカレールウを100円で特売する場合“カレーの具”になる玉ねぎやじゃがいも、ニンジンなどを高めの価格に設定する。こうしてスーパーはトータルで利益を生み出す」(同前)

「三白」と同様に、特売品になることが多いのが「豆腐」だ。特売のときなど、いつも買っている豆腐の横に“1丁20円”といった激安の豆腐があれば手に取りたくなるだろう。もちろん赤字覚悟で売り出すお買い得な品物もあるが、あまりに安すぎる商品には注意が必要だ。食生活ジャーナリストの山本謙治氏が警鐘を鳴らす。

「豆腐のなかには、にがりではなく、化学的に精製された『凝固剤』を添加することで、使う大豆の量を半分以下に減らしているものもある。当然、味わいも変わってきます」

 このように“ドーピング”で低コスト化を図っている商品は少なくない。食品表示アドバイザーの垣田達哉氏がいう。

「安価なハム、ソーセージには『インジェクション』(注射)という製造プロセスがある。少量の豚肉でもしっとりとした柔らかさを出すため、粘り気を出す『増粘多糖類』や、増量材ともなる『各種たんぱく質』、結着剤である『リン酸塩』を注入するのです。これによって、ジューシーで、使用する肉の割に多いハムやソーセージが作れる」

 牛肉や豚肉のミンチを立方体状に成型した「サイコロステーキ」や、鶏肉を使用した「チキンナゲット」にも、たんぱく質やリン酸塩が多用されるものは多い。購入時には、商品の成分表示を念入りにチェックしておきたい。

※週刊ポスト2017年2月24日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン