ライフ

女?男?が話題の直虎 「別人男性説」の史料に異議あり

『おんな城主 直虎』公式HPより

 歴史上の人物について私たちが持つイメージは、往々にして学校で習った内容や、小説やテレビドラマなどで描かれる姿そのものだったりする。一方、歴史研究の世界では新たな史料が発見され、これまでの“常識”が覆ることがある。

「井伊直虎」の場合はどうか。徳川時代、譜代筆頭として代々幕府の重要な役職を担った井伊家。戦国時代には、男性当主が死に絶え滅亡の危機に瀕した。その時、直虎は、女性でありながら家と領地を守り抜き、まだ幼かった24代当主・井伊直政を養育したと伝わる。大河ドラマ放送に伴い「直虎別人男性説」が浮上、大きく報じられた。静岡大学名誉教授の小和田哲男氏が指摘する。

 * * *
 大河ドラマ放映直前の2016年12月、全国紙などで「直虎別人男性説」が一斉に報じられた。それは井伊家ゆかりの美術品などを保存・展示する井伊美術館館長の井伊達夫氏が発見した『雑秘説写記』という史料によるもの。

 その中で、今川氏の家臣で井伊家の目付役として派遣された関口氏経の息子が「井伊次郎」を名乗ったと記されているのだ。男性説は、この史料の「井伊次郎」こそが実は直虎ではなかったか、とする説である。

 しかし私は、その新説について懐疑的に見ている。第一に、『雑秘説写記』は江戸時代に書かれた聞き書きの史料であり、いわゆる「二次史料」となるもので信憑性が劣るということ。

 また「次郎」は井伊家の惣領が代々名乗る名前のため、井伊家の者が「次郎法師」を名乗っている同時期に、別の家の人物が名乗ることはできないだろう。

 仮に関口氏経の息子が井伊次郎を名乗ったとしても、新史料には直虎と名乗ったとの記述はない上、後の井伊直政の擁立について説明がつかなくなる。通説通り、次郎法師=直虎が血の繋がった幼い虎松(後の直政)を養育し、家康に引き会わせて出世させたというプロセスのほうが理解しやすい。

関連記事

トピックス

愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
イメージカット
「有名人なりすまし広告」の類に“騙されやすい度”をチェックしてみよう
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン