「瑶台西路界隈にいるのはナイジェリアの商人だ。中国で買い付けた100元(約1700円)の衣服をナイジェリアで売れば、7000ナイラ(約2500円)になる。ガーナやカメルーンなど近隣国に持っていってもいい。中国製品はよく売れるからね」

 近所で数年前から同胞向けの食堂を経営する、ナイジェリアのオニチャ出身のマーティン氏が話す。広州のアフリカ人は、同国の出身者が最も多いという。

 最近は人民元の高騰で商売が厳しいが、数年前はもっと利幅が大きかったため、街は現在以上に多くのナイジェリア人で溢れていた。

「中国に来るのは南部のイボ族が多い。国家のポストを(ブハリ現大統領も属する)北部のイスラム系の部族が握っているので、われわれは中国に来てカネを稼ぐしかないんだ」

 とは、同国ラゴス市出身のイボ族商人・マース氏の弁だ。2か月間の中国滞在で中古衣料品を大量に買い付けるのだという。

●やすだ・みねとし/1982年滋賀県生まれ。ノンフィクション作家。立命館大学文学部卒業後、広島大学大学院文学研究科修了。当時の専攻は中国近現代史。著書に『和僑』『協会の民』『野心 郭台銘伝』など。

※SAPIO2017年4月号

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