トライアルを終えた状況から、この馬が人気の中心になりそうだ。角居師がこう解説する。
「この時期、同じ世代の牡と牝を較べると、牝馬の方が強い。人間でも小学校の頃などは女の子の方が心身ともに成長が早いでしょう。牝馬は春に強くなりますが、牡馬は夏を超えることで成長するのです」
そんな時期なので、競馬を楽しむにはとても意味のあるレースなのだという。
「皐月賞をダービーとくらべてしまうから魅力的に感じないのではないでしょうか。
この時期の3歳牡馬は、まだ適性が定まっていないので、様々な可能性を秘めた馬が集まってきます。2000メートルという距離も、マイラーになるのかステイヤー路線に進むのか、あるいはスプリンターでいくのか、融通が利く。パワータイプも出てくるし、スピード豊かな馬もいて、いわば“ごった煮状態”です。それだけに味わいがあります(笑い)」
この時点ではまだ伏兵に過ぎなかった馬が、1か月半後のダービーで栄光を勝ち取ったケースも多い。10年のダービー馬エイシンフラッシュは皐月賞3着だったが、なんと11番人気。三冠馬オルフェーヴルも4番人気にすぎなかった。
馬場も中山の最終週で荒れ模様、桜花賞と違って純粋な力勝負にはなりにくいレースだ。いろいろなタイプの馬が走るので、大逃げを打つなどの思い切った戦術を仕かけてくる馬も現われ、陣営にとってはやりにくい。
それだけに馬券的妙味も十分だ。