芸能

昭和元禄落語心中の作者「落語家は格好いい」と伝えたかった

アニメ化もされた『昭和元禄落語心中』(公式HPより)

 ここ最近ブームになっているのが落語。そのきっかけのひとつとなったのが、2010年6月に隔月コミック誌『ITAN』(創刊当時は季刊誌)で連載がスタートし、2016年にはアニメ化もされた漫画『昭和元禄落語心中』だ。原作者の雲田はるこさんは、もともと落語が好きだった。雲田さんに話を聞いた。

 * * *
 連載を始める数年前に浅草演芸ホールの寄席に行ったんです。平日の夜でした。客席は10人いるかいないかくらい。こんなにいいものなのに、お客さんが少なくて悲しいなって。

 もっとお客さんが増えたら落語家さんも嬉しいだろうし、寄席のかたも嬉しいだろうし。それにお客さんが増えることで、落語家さんが気分よく乗ってネタをやってくれれば、私も嬉しい。

 だから、寄席に人が行きたくなるような作品を描きました。登場する落語家さんは、寄席を大事にする人たちばかりにしました。

 落語家さんは、色っぽいし、かっこいいんです。いい落語家さんは、指の先にまで拘こだわってやっています。そういうところに色気が出ると思うんです。仕草、目線、指先まで注意して描きました。

 落語家さんが「おれたち格好いいだろ」とは職業的に言えないので、ファンの立場から、あなたたちは格好いいですと言いたかったし、いろんな人に伝えたかったんです。

〈雲田さんによれば、漫画は落語の魅力を伝えることに適しているメディアだという。その具体例の1つが、主人公・与太郎が『芝浜』を演じる場面だ。師匠ではないが、与太郎の憧れの落語家・助六が『芝浜』を演じたときと同じコマ割りと構図にしている〉

 このシーンは、与太郎が完全に助六の『芝浜』をコピーして高座にかけるシーンなので、どうしても同じにしたかったんですね。落語は、「師匠とそっくりだね」というのが褒ほめ言葉になるんです。そっくりにできることや物まねのように声色まで似せられることが、すごくいいことになるんです。

 この作品に出てくる人物は、みんな欠点がある人たちばかりです。それでも全部肯定していこうという気持ちで作品を描きました。実は、そんなことを落語を聴いていると感じるんです。私が落語を聴いて感じることを漫画に詰めて、漫画を読んだ時に、読者のみなさんが「落語ってこういうものなんだ」と感じてもらえたら嬉しいです。

※女性セブン2017年4月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

主演映画『碁盤斬り』で時代劇に挑戦
【主演映画『碁盤斬り』で武士役】草なぎ剛、“笠”が似合うと自画自賛「江戸時代に生まれていたら、もっと人気が出たんじゃないかな」
女性セブン
かつて問題になったジュキヤのYouTube(同氏チャンネルより。現在は削除)
《チャンネル全削除》登録者250万人のYouTuber・ジュキヤ、女児へのわいせつ表現など「性暴力をコンテンツ化」にGoogle日本法人が行なっていた「事前警告」
NEWSポストセブン
水卜麻美アナ
日テレ・水卜麻美アナ、ごぼう抜きの超スピード出世でも防げないフリー転身 年収2億円超えは確実、俳優夫とのすれ違いを回避できるメリットも
NEWSポストセブン
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
電撃閉校した愛知
《100万円払って返金は5万円》「新年度を待ったのでは」愛知中央美容専門学校の関係者を直撃、苦学生の味方のはずが……電撃閉校の背景
NEWSポストセブン
遺体に現金を引き出させようとして死体冒涜の罪で親類の女性が起訴された
「ペンをしっかり握って!」遺体に現金を引き出させようとして死体冒涜……親戚の女がブラジルメディアインタビューに「私はモンスターではない」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
”うめつば”の愛称で親しまれた梅田直樹さん(41)と益若つばささん(38)
《益若つばさの元夫・梅田直樹の今》恋人とは「お別れしました」本人が語った新生活と「元妻との関係」
NEWSポストセブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン