「朝日新聞は今年10月の竣工予定で、銀座6丁目の並木通りにある『銀座朝日ビル』を建て替えます。生まれ変わるビルは、低層階をブランドショップなどが入る商業施設フロア、3階以上は高級外資系ホテルの『ハイアット セントリック銀座東京』になります。
一方、読売新聞も自社保有する銀座3丁目の旧プランタン銀座(現マロニエゲート)の裏手で、並木通りに面した区画の再開発にも乗り出します。こちらも朝日同様、低層は商業、上層はホテルとして利用するのを基本に、事務所用途としても使える造りにする計画です。
同じ並木通り沿いの3丁目と6丁目に分かれ、読売と朝日のライバル新聞社がホテル事業で激突するのは興味深い展開といえます」
いずれにせよ、新しい高級ブランドビルやラグジュアリーホテルが続々誕生することにより、歴史ある街並みが一変しそうな銀座──。果たして各事業者の思惑通りに収益を上げることができるのだろうか。
「銀座エリアの再開発は、五輪を見据えたインバウンド狙いで沸騰している状態ですが、外国人観光客の“爆買いブーム”が短期間で萎んだように、五輪特需が終わった後のモノ消費がどこまで旺盛に続くかは疑問です。
そういった意味では、ホテルはサービスも含めたコト消費のポテンシャルはあるでしょう。しかし、銀座に進出したというだけでプレゼンスが高まり、多くのリピーターを囲い込めるほど生易しい時代ではありません」(前出・河野氏)
経済だけでなく、東京の総合的な「都市力」を上げるためにも、銀座の再開発は重要な役割を担っている。