ヒューリック一覧

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木造住宅や建築が地球を救う!? 法改正で住まいの潮流は変わる?
木造住宅や建築が地球を救う!? 法改正で住まいの潮流は変わる?
2021年10月に木材利用に関する法律が改正された。もっと建築物に木材を利用しましょう、というものだが、なぜ今、国は木材利用を促進するのか。その背景には、単に脱炭素社会を進めるためだけでなく、森林を健全に保つことで人々の生活を豊かにし、地域経済を活性化しようという目標があった。今後の住宅やまちの建築物はどうなっていくのだろうか。具体的に見てみよう。日本の人工林の半数以上がすでに利用期を迎えている2021年10月に改正された法律は「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」。要はもっと木材を利用しましょう、利用しやすい環境も整えます、という法律なのだが「改正」という通り、もとの法律は10年以上前の平成22年に制定された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」だ。「戦後復興による木材需要の高まりを受けて、日本全国で植林活動が盛んに行われるようになりました。それにより現在では約54億立方メートルという豊かな森林資源を保有するまでになりました。植林から50年以上が経って大きく育ち、本格的な利用期を迎えた人工林がたくさんあるのです」と林野庁の林政部木材利用課、櫻井知さん。樹木は高齢になると成長量が減少し、CO2吸収量も減少するため、森林サイクルを回して若い森林を増やすことが重要だ。森林サイクルを回すメリットは、CO2削減だけではない。このサイクルを回すことで下記図の通り、全国各地の山間部の経済や雇用、生物の多様性、国土や水資源の保全、豊かな海の創出、健康の促進……多様なSDGsにも貢献することになる。「森林」にはそれだけたくさんの産業や、それに伴う人々が関わっていることになる。木材は国外依存度が高く、安定的な供給が課題そこで平成22年(2010年)に公共建築物での木材利用を促進する「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が定められた。さらに木材の利用量を増やすため、2021年に入って公共建築物等だけでなく民間の建築物での利用も促す法律に改定されたというわけだ。改定内容の大きな特徴は、対象物を単に民間建築物に広げただけでなく、建築主などの事業者による木材利用の取組を国や地方自治体が後押ししたり、川上から川下まですべからく見通しをよくし、お互いの信頼関係をつくることができるよう「建築物木材利用促進協定制度」が新設されたことにある。木材の流通経路は、川の流れに例えて、よく「川上」「川中」「川下」と呼ばれる。「川上」は森林所有者や丸太の生産者、造林などの林業従事者など、主に原材料としての木材を供給する立場のこと。「川中」は木材の流通に関わる業者や、単板・合板、チップ等の加工業者、プレカット(施工前にあらかじめ使用サイズや形状に加工しておくこと)業者などが当てはまる。「川下」は住宅メーカーなどの施工会社、家具製造会社、バイオマス事業者、建築主や消費者など、木材の最終利用者や最終製品の提供者や利用者を指す。「山に木が植えられてから、住宅などに使用される間には、たくさんの人々が関係しています。そのため川上からは川下の、逆に川下から川上も、それぞれが抱えている課題が見えにくくなっています」。また間に多くの人々が絡むということは、お互いの信頼関係が築きにくいということもある。特に信頼関係が重要だということは、最近のウッドショックで例えるとわかりやすい。新型コロナウイルス感染症拡大により、アメリカでは一時期経済が落ち込んだ一方で、急速に新築戸建需要が高まり、木材の供給が需要に追いつかなくなった。そのため木材の価格が世界的に高騰。また、コンテナ不足によって、欧州、北米の現地サプライヤーは、アメリカ向けの供給を増やしたことなどにより、日本向けの供給量は減少。これがウッドショックだ。先述の通り森林資源が豊かな日本は、一見ウッドショックと無縁かと思われがちだが、日本でも木材価格が高騰した。これまで多くの木材を輸入していた日本は、そもそもウッドショックを受けやすい。だからといって豊富なはずの国内に目を向けても、蛇口をひねるように木材は増えないからだ。例えば製材事業者ひとつとっても、これまで以上の製材を行うためには設備投資が必要になる。「投資後も木材の利用が進むようなら製材事業者としても投資するでしょうが、一時の需要だけで投資するのはリスクが高いのです」と櫻井さん。投資の難しさを理解するために、もう1つ加えるならば、木は植えて50年後にようやく伐採できるということ。春に植えて秋には収穫できる稲作とはタイムスケールが大きく異なるのだ。ウッドショックで言えば「伐れば植えなければならないが、植えた木を50年後に買ってくれるんですか?」と懐疑的になってもおかしくはない。林野庁では、中期的な戦略として、サプライチェーン・マネジメントの構築によるハウスメーカー等からの国産材の安定需要の獲得、加工流通施設の整備等による国産材製品の供給量の増大や競争力の強化、ICTを活用した生産流通管理等による原木の供給量増大を図っていくこととしている。そこで「建築物木材利用促進協定制度」にも、国や地方自治体が川上・川中・川下の三者の信頼関係の構築に一役買うことが期待されている。法改正により川上から川下まで、信頼関係が築ける環境をつくる「建築物木材利用促進協定制度」とは、建築主となる民間の事業者等が、安心して木材の利用に取り組めるようにするため、国や地方公共団体、そしてその先の川中や川上サイドと結ぶ協定だ。主に下記のような形態が考えられている。国や地方公共団体が協定に関わることで、事業者等による取組が社会的に認知されやすくなったり、川上から川下までの関係する各者がお互いの信頼関係を構築しやすくなる。川下である建設事業者側から見れば、これまで製材を販売する川中までは知っていたとしても、森林所有者など木材を供給する川上の事情まではあまり把握していなかった。しかしこの協定制度によって、利用する木材の産地にこだわることができたり、川上では今どんな種類・樹齢の木材が供給可能であるか、再造林は確実に行われているかなど、全体の流れを隅々まで把握できるようになるから、事業計画を立てやすい。逆に川上の木材供給側は川下の考えを直接聞けるようになるため、木材の供給や植林計画が立てやすくなる。その信頼関係は国や地方自治体等が入ることで裏付けもされる。新設された「木材利用促進本部」は、いわばこの協定制度の旗振り役といったところ。建築物での木材利用促進に関する基本方針の策定や、実施の推進を行う。これまでは農林水産大臣や国土交通大臣の役割だったが、民間企業を広く巻き込む今回の改正後は環境大臣、経済産業大臣、総務大臣、文部科学大臣といった、関係するすべての大臣が加わっている。さらに官民協議会「民間建築物等における木材利用促進に向けた協議会」(通称「ウッド・チェンジ協議会」)が昨年9月に立ち上がった。これには日本経済団体連合会(日本経団連)、経済同友会、日本商工会議所の経済3団体をはじめ、日本建設業連合会など建築サイド、全国森林組合連合会や全国木材組合連合会など木材供給サイド、全国知事会など行政サイド……という具合に、川上から川下までの各界の関係者が一堂に会する協議会だ。「法改正を契機として、経済3団体を含む幅広い団体に参画いただくことができました」と櫻井さん。今回の法改正は、木材の利用促進にオールニッポンとして一丸となって取り組もうという意思の表れともいえる。環境問題への取り組みは、もはや企業の至上命題実際に、民間企業が木材利用を進めている事例も出てきている。例えば三井ホームは国産材も用いて木造マンション「モクシオン」を建設。また三菱地所は建材用の木材の製造から販売までのビジネスフローを統合することで、中間コストを抑制し、新たな建材の生産や、プレファブ化を行う新会社「MEC Industry」を設立。通常の一戸建てでの商品力・供給力を高めるだけでなく、中高層建築・大規模建築物においても木材利用を推進していくことを目指している。昨年10月に竣工した東京都中央区銀座の「HULIC &New GINZA 8」(ヒューリック アンニュー ギンザエイト)も民間企業による木材利用促進事例の一つだ。日本初の耐火木造12階建て商業ビルで、木造+鉄骨造のハイブリッド建築。内装では木材を利用した柱や梁、天井が現し(構造材が見える状態のまま仕上げる方法)となっていて、外装材にも木材が利用されている。しかもこの建築で使用された木材と同等量の、約1万2000本が福島県白河市で植林され、森林サイクルを回している。ヒューリックプロパティソリューション(株)の浦谷健史副社長は「きっかけは2018年の、経済同友会で提言としてまとめられた『地方創生に向けた“需要サイドからの”林業改革~日本の中高層ビルを木造建築に!~』。主に都心における建築での木材利用を促進し、それにより林業の活性化を図り、地方の創生に繋げていこうという趣旨です。もともと当社は約10年前からCO2削減に着目して事業を展開してきましたが、これに地方創生を加えた方針に賛同し、自ら第一号のビル(HULIC &New GINZA 8)を建てて世の中に木造利用の促進を訴えようと考えたのです」CO2削減に以前から着目していたというが、それはなぜか? 「ESG投資(環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行なう投資)が注目されているように、これからの企業にとって、企業価値を高めるために環境問題に取り組むことはもはや必須だからです」実際、同社は約7年前から太陽光発電事業に参入し、全国各地にメガソーラーを建設。そこで発電した電力を、本社ビルをはじめグループ全体で活用している。2024年までに自社で使用する電力を再生可能エネルギーへ100%転換、2030年には同社が保有する全ての建物において 電力由来のCO 2 排出量ネットゼロ化を達成するという目標も掲げられた。ちなみに、このメガソーラーのひとつが福島県にあり、それが縁で今回の福島県白河市の森林サイクル活動につながったそうだ。法改正によって森林サイクルが回りやすくなってきた今回の法改正について浦谷さんは「改正の目的である『民間建築物に木材利用を広げよう』ということは、まさに当社がHULIC &New GINZA 8で身をもって示そうとしたこと。改正の趣旨や改正点は、当社が取り組んでいる姿勢と同義だと考えています」という。加えて、実際に手がけたからこそわかる、木材利用の課題についても教えてくれた。それはコストだ。高層化や耐火に対応できる木材は最近の技術で、まだ広く普及していないこともあって、現状では高層化・耐火建築物に木材を利用しようとすると、鉄筋コンクリート造よりもコストが高くなるという。ただし浦谷さんは同時に、この法律によって日本の木材の生産者(川上)や製造者(川中)の活動が促進されれば、市場が活性化されてコストが下がるだろうと期待していている。また「建築物木材利用促進協定制度」などで、福島県白河市とのような関係が他地域とも築けることに期待を寄せる。「やはり国産材を使いたいですし、建物によってそれぞれ特徴にあった木材を利用したいと思います。そのために全国の様々な木材生産者等とつながりやすくなることはとても有効だと思います」同社は今後も、現在計画中の新宿区の老人ホーム建設をはじめ木材利用を推進していくという。「これを一時のブームで終わらせてはいけません。木材利用は継続的にやること、森林サイクルを回すことに意味があるのですから」森林サイクルを回すことで脱炭素化が図れるだけでなく、地域経済も潤い、雇用が増え、森や海が保全されて私たちの生活まで豊かになる。今回の法改正では木材利用を国民運動として展開するため「木材利用促進の日」(10月8日)と「木材利用促進月間」(10月)が法定された。私たちもまずは家を建てる際に、利用する木材に思いをはせることから森林サイクルについて考えてみてはどうだろう。●取材協力林野庁ヒューリック(籠島 康弘)
2022.01.11 07:00
SUUMOジャーナル
コロナ禍の銀座ビルを「売った孫正義氏」と「買った柳井正氏」の皮算用
コロナ禍の銀座ビルを「売った孫正義氏」と「買った柳井正氏」の皮算用
 日本有数の歓楽街・銀座で、コロナ禍の苦境を象徴するような“売却劇”が起きた。ソフトバンクグループ(以下、SBG)の孫正義会長兼社長が、個人資産として保有していた「ティファニー銀座本店ビル」を売却したと報じられたのだ。【写真】銀座に開店したユニクロ旗艦店 SBGは2020年3月期の営業利益が1兆3500億円の赤字となる見込みだと発表。5月の決算発表では、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の損失額が1兆8000億円に達する見通しも示していた。同ファンドの投資先企業からは、コロナ禍で倒産が続出する可能性が指摘されている。経済ジャーナリストの有森隆氏はこうみる。「個人資産のビルを売却することで、投資家や金融機関に対し、襟を正す姿勢を示そうとしているのでは。SBGへの出資者は痛い思いをしているが、孫氏も身を切っているという“アピール”だと受けとめました。 売却先は不動産大手のヒューリックで、売却はみずほグループが仲介したと報じられています。みずほ銀行はSBGに1兆円近くを融資しており、ヒューリックも旧富士銀行の店舗ビル管理から出発した会社で、みずほ銀行から出向している役員も多い。この売却劇を、みずほ銀行がSBGから少しでも資金を回収しようという動きだと見る向きもある」 そんな孫氏を横目に、6月19日、銀座に大型新店舗「UNIQLO TOKYO」を出店したのがファーストリテイリングの柳井正会長兼社長だ。 柳井氏は昨年までSBGの社外取締役を務め、孫氏については「ずっとライバルで同志」と言及するほど交流が深い。 そのユニクロは、6月の国内既存店の売上高が前年同月比で26.2%増と発表し、コロナ禍からのV字回復が伝えられている。前出・有森氏が語る。「柳井氏は、世界のアパレル業界の中でもユニクロが最もダメージが少ないと分析していると聞きます。この店を新たな旗艦店と位置付けてビジネスチャンスを拡大しようとしている印象です」 どちらも庶民にはケタ違いの取引ながら、「売り」と「買い」で分かれた“銀座の金の物語”。明暗はどうなるか。※週刊ポスト2020年7月31日・8月7日号
2020.07.27 16:00
マネーポストWEB
「GAP」の旗艦店がテナントで入るヒューリック銀座数寄屋橋ビル
不動産「御三家」を猛追 ヒューリックとはどんな会社なのか
 大手不動産企業といえば、三井、三菱、住友などの冠がつく財閥系が群を抜いているが、収益面でそれら巨大企業を猛追している意外な中堅企業がある。『月刊BOSS』編集委員の河野圭祐氏がレポートする。 * * *「ヒューリック」という社名を聞いて、ピンと来る人はまだあまりいないかもしれない。同社は昨年、前身の日本橋興業からヒューリックに呼称変更して10年、会社設立から60年という節目を迎えた。ちなみにヒューリックとは、ヒューマン、ライフ、クリエイトの3つの言葉を組み合わせた造語で、れっきとした東証1部上場の中堅不動産会社である。 売上高でいえば、2017年12月期の予想が2800億円というそのヒューリックが、不動産業界で御三家といえる三井不動産、三菱地所、住友不動産の財閥系3社を追いかける、4番手に浮上しようとしている。 財閥系3社に続くのは野村不動産ホールディングス、東急不動産ホールディングスで、確かに規模では野村や東急にも及ばない(2018年3月期の両社の売上高予想は、野村が6460億円、東急が8400億円)中堅クラスのヒューリックだが、大事なのは収益。この収益面での比較となると、一気に野村や東急と肩を並べるのだ。 2018年3月期予想で営業利益、経常利益、純利益の順に数字を並べてみると、野村は760億円、670億円、440億円。東急は735億円、640億円、345億円。そして2017年12月期のヒューリックの予想が630億円、600億円、400億円。売上高比から見たヒューリックの高収益性が際立っているのがわかる。 なぜ、同社は高収益なのか。野村の場合は、マンションブランドとして高い認知度を誇る「プラウド」が牽引役となり、近年は交通至便な駅直結の「プラウドタワー」などの高価格帯マンションがよく売れた。 東急はマンションで比較すると、自社ブランドの「ブランズ」が野村の「プラウド」ほどは高くない。ただし、野村が現在注力中の大都市部での再開発事業ではリードするなど、一長一短があるのだ。 その中で、ヒューリックは分譲マンション事業を手がけていないこともあって、イメージ的にも一見、地味な存在だった。では、前述した高収益はどこからもたらされているのか。その理由を辿っていくと、同社のルーツから触れなければならない。 ヒューリックの原点は旧富士銀行(現・みずほ銀行)の銀行店舗ビル管理である。かつての大手都市銀行は大抵、駅直結か駅近の好立地に銀行店舗の入ったビルを擁していたから、ヒューリックもそれなりの収益は上げていた。だが、その後金融ビッグバンの中でメガバンクが続々と誕生し、旧富士銀行も、旧第一勧業銀行、旧日本興業銀行と経営統合している。 3行統合ともなれば当然、リストラの過程で店舗の統廃合が行われ、不良債権物件の削減の過程ではその引き受け役という、しわ寄せがヒューリックにも押し寄せた。 そんな中、2006年にみずほ銀行副頭取からヒューリック社長に転じたのが西浦三郎社長(現会長)で、前述した社名変更を着任翌年の2007年に実施するなど、同社のビジネスモデルを根本から変えていったとされる。以前、ヒューリックの幹部はこう語っていた。「当社の戦略は、好立地の老朽化した自社物件を建て替えて、付加価値を付けて賃料を増やしていくということなのです」 既存の所有物件を建て替えて高層化し、増えた床面積をオフィステナントや商業テナントに貸し出して家賃収入を増やしていくというわけだ。その代表例が、都心の中でも最重点エリアの1つで多くの所有物件を持つ銀座で、晴海通りを挟んでソニービル(現在は取り壊し中)の正面にある、「ヒューリック銀座数寄屋橋ビル」といっていい。 同ビルはもともと旧富士銀行の支店が入っていた物件だが、建て替えて2011年に竣工。ビル1階には米国衣料チェーン大手の「GAP」の旗艦店がテナントで入っており、翌2012年にも「リクルートGINZA7ビル」をリクルートから購入している。 ほかにも、銀座1丁目にある同社のビルが、すでに築40年以上が経過していることからいずれ建て替え計画が出てくるものと目され、銀座という場所柄、オフィスでなく外資系の高級ブランド店に貸すことができれば、オフィス賃貸に比べて何倍もの賃料が取れるというわけだ。特にヒューリック銀座数寄屋橋ビルが竣工した2011年以降、同社の攻勢は目に見える形で増え、ジワジワと存在感が高まってきた。 現在、オフィス賃貸のほかに注力している分野が、観光ビジネス(ホテルや旅館)、高齢者ビジネス(高齢者施設や介護、医療など)、環境ビジネス(メガソーラーや農業)で、3事業の頭文字から社内では「3K」と呼ばれている。 特に最初の観光事業は異色だ。たとえば、ヒューリックが初めて手がけたホテルが東京・浅草にある「ザ・ゲートホテル雷門」(2012年8月開業)。当地も、もともと旧富士銀行の店舗があった場所だが、雷門支店が3行統合で閉鎖対象店舗になったことから建て替え用途を検討。浅草は観光地でもあるためホテル用途を選択したのだが、自社でホテル運営ノウハウを積むため、直営ホテルとしている。 前後して2010年には有楽町にあった「ニュートーキヨービル」を5年後に取得する契約を締結。さらに2012年、同ビルに隣接したビルも取得し、購入した2つの土地を1つのホテルで使用するため、容積率も緩和されるなどのメリットがあった。当地でも今秋、自社運営ホテルが開業予定だが、浅草も有楽町も宿泊特化型で、宴会場や大規模レストランなどを付帯せず、採算性の高い宿泊ビジネスに絞ったホテルにしているのが特色だ。 今後、労働人口の減少や在宅勤務なども増えていくため、将来的にはオフィス賃貸市場は供給過剰になっていく公算が高く、ヒューリックでは前述の3K事業の比率を高めていくという。 ただ、もちろん好採算が見込めるエリアでは引き続き、旺盛な物件取得にも動いている。昨年も銀座6丁目、あるいは新宿3丁目での開発用地取得を発表したほか、来秋竣工予定で渋谷パルコ跡地再開発地に建つ予定の高層ビルでは、上層階の事務所床をパルコから取得した。 ただ、こうした積極投資もあって有利子負債は9000億円を超えており、2800億円の企業規模からすれば将来、金利上昇局面に反転した場合のことも考えておかなければならない。そこでグループのREIT(不動産投資信託)会社へ物件を売却して本体のバランスシートを軽くしたり、あるいは公募ハイブリッド債(公募劣後特約付き社債)の発行を予定するなど、守りの手も打ってきてはいる。 業績も好調なだけに、中途採用組の多いヒューリックでは、社員の平均年齢が40.3歳で社員の平均年収が1418万円(「会社四季報」ベース)と厚遇で、福利厚生面や働きやすい職場環境づくりにも熱心らしい。 東京五輪後の不動産市場や金利動向は不透明で、不動産各社はそれぞれ得意な分野で勝負していく色彩が強まっていくことも予想される。 ちなみに、ヒューリックは旧富士銀行系ということもあって芙蓉グループと近いため、芙蓉系の東京建物がヒューリックの第3位株主(持ち株は6.3%)だ。東京建物は安田財閥の創始者が1896年に設立した、日本最古の総合不動産会社でもある。同社の2017年12月期の売上高見込みは2600億円、営業利益420億円、経常利益350億円、純利益220億円と、すでにヒューリックのほうがすべての指標で上回る。 東京建物は、どちらかといえば「ブリリア」ブランドでの分譲マンション事業のイメージが強いため、ヒューリックとの棲み分けも成立する。将来は、同じ12月期決算ということもあり、両社で連携や補完するようなこともあり得るかもしれない。ともあれ、ヒューリックの将来戦略に注目したい。
2018.01.14 07:00
NEWSポストセブン
日本に先駆け1月に中国で開業する「MUJIホテル」(写真:時事)
銀座ホテル戦争 無印良品が手掛けるMUJIホテルの勝算は
 2年半後に迫った東京五輪を見据えて、インバウンド需要を狙ったホテル建設ラッシュが続いている。特に火花を散らしているのが、日本一の商業地、銀座である。 2018年、開業の先陣を切るのが銀座朝日ビル跡地に建つ、外資のハイアット系ホテル。次いで、ニュートーキョー跡地(場所は有楽町エリア)ではディベロッパーのヒューリックが自主運営する高級ビジネスホテル。 そして2019年春、旧プランタン銀座裏手の読売新聞社所有跡地に建設中なのが無印良品(運営は良品計画)が手がける「MUJIホテル」(ホテル運営は小田急電鉄グループの企業)だ。翌2020年も、森トラストが誘致するマリオット系の最高級ブランド、エディションホテルが控えている。 この中である意味、無印良品のホテルは最も注目度が高いといっていい。ホテル展開に慣れた外資系やディベロッパー系の案件でなく、小売業系のホテルであるからだ(「MUJIホテル」そのものは2018年1月18日に深センで、同3月20日には北京でと、中国での開業が日本よりも先行)。 過去、ダイエーが福岡市でシーホークホテル、神戸市でオリエンタルホテルを、旧セゾングループがホテル西洋銀座、そしてインターコンチネンタルホテル買収などでホテル事業に進出したが、いずれも後に売却、譲渡する結果になっている。 無印良品といえば、鉛筆1本、スプーン1本から食品、雑貨、衣料品、家具、別会社では住宅事業も手がける企業。そして商品はすべてシンプルなデザインでナチュラル、ウッディ、色調も原色は極力使わず、生成りやモノトーンの配色で統一している。それだけに、この世界観に共鳴、共感するファンは俗に“ムジラー”とも称され、無印良品の商品群に囲まれて生活することに満たされているようだ。 運営会社の良品計画側も、「これがいい、ではなく、これでいい」を商品コンセプトとし、地球との共生に強いこだわりを持ちながら、無駄を削ぎ落したシンプルな生活提案をし続けるというのが変わらぬ哲学で、暮らし方の提案そのものが無印良品だという点が、他社には真似のできない世界観だとしている。つまり、企業コンセプト自体を商品に落とし込んで売る会社ともいえるわけで、ここが他の小売業とは決定的に違うといっていい。 ホテルにおける知見やノウハウで、ダイエーや旧セゾングループと違うのは、前述したように、グループ会社で住宅事業を手がけてきたことも活きてくるからだ。 URと組んだ、リノベーションによる団地再生プロジェクトでは、すでに東京・板橋区高島平での団地物件をはじめとした実績がある。たとえばリビングの床は麦わらパネルにし、い草を使用する畳もサラサラ感のある麻畳に、さらにダイニングテーブルの高さをシステムキッチンの高さに合わせる、無印良品のシェルフを使用して仕切りをつくり、外せば一体空間になる伸び縮み自在なLDKの工夫など。 このほか、戸建て住宅のほうでも従来タイプのお仕着せでない、「無印良品の3つの家」を軸にしている(「木の家」=大きな吹き抜けでゆるやかにつながる一室空間の家。「窓の家」=好きな大きさで窓を開けられる三角屋根の家。「縦の家」=6つの部屋を組み合わせて暮らす空間を縦に広げた家)。 以前、良品計画の金井政明社長(現在は会長)は、こう語っていたことがあった。「億ションのマンションなら、ジャグジーバスは大抵、標準装備でしょう。で、3000万円のマンションならバスのサイズはこんなものと、供給側の論理でだいたい決まっているのが普通です。でも、3000万円のマンションでもバスだけはこだわり、ジャグジーが欲しい人もいるわけです。ならば、我々がそれを実現してしまおうと」 そこでMUJIホテルである。無印良品の住宅も、モデルルーム内には自社商品の装飾が施せ、リノベーション物件の場合も同様だ。その住宅と並んで、無印良品の従来のステレオタイプではない空間設計の仕様を体感してもらうには、ホテルはうってつけともいえる。照明や壁紙、ベッド、クローゼット、バスやトイレの作りこみと関連アメニティグッズなど、他のホテルでは手がけそうにない空間や商品設計が期待できるからだ。 さらに、ホテルの下層階に下りれば、無印良品の大型店がある仕組み。無印良品の世界観を体験した宿泊者たちが、今度は実店舗で単品ごとに商品を手に取り、色味や手触りを実感しながら高い購買率につなげ、インバウンドの客層であれば母国に帰国して口コミで無印良品の良さが伝播していく――そんな仕掛けといっていいだろう。 そういう意味で、日本では初となるMUJIホテルは、ほかの銀座エリア内のホテル群とは一線を画したホテルになるだろう。それだけ独自性で勝負できるわけで、勝算はかなりあるはずだ。 もちろん、銀座エリアに限らずホテル戦争はこれからさらに熾烈さを増していく。場合によっては東京五輪後、稼働率が低空飛行となり、ホテルを手仕舞いするところも出てくるかもしれない。MUJIホテルの場合も、銀座で想定以上の業績を収めることができれば、他の大都市でも横展開していく可能性はあるが、逆に、意外に苦戦した場合はどうか。 実は、銀座のMUJIホテルには“可変性”がある。最初からホテル仕様の躯体にしてしまうと、事務所用途に比べて少し階高が低いため、ホテル用から事務所用には戻せなくなってしまうのだが、MUJIホテルの場合、階高を高めに確保して造るため、ホテルとしては贅沢な空間だが、これが将来、仮にホテル用途をやめてしまった場合、事務所用途に戻せるように設計されているのである。 つまりリスクヘッジ的な観点からいえば、仮に万一、MUJIホテルが将来、クローズすることになったとしても、事務所用途に転用できるのであれば、家主の読売新聞社が違うオフィステナントを探すこともできる。 場合によっては、下層階に無印良品の大型店を置くだけに、いまは東池袋に本社を置く良品計画が当地に本社移転し、自社の大型店舗と直結して、顧客の声や反応をダイレクトに吸い上げることも可能だ。 場所も小売業にとって文句なしの銀座。しかも東京五輪を過ぎれば、年々地価が下がり、当地の家賃も一転して下がっていく可能性もある。そうなれば、良品計画にとっても悪い話ではないはずだ。もし、そこまで視野に入れてのMUJIホテル計画だとしたら、良品計画は実にしたたかで、逞しい企業だといえるだろう。■文/河野圭祐(月刊『BOSS』編集委員)
2018.01.01 07:00
NEWSポストセブン
銀座には新ランドマークが続々(4月20日開業の「GINZA SIX」)
変貌する銀座 朝日新聞vs読売新聞の「高級ホテル戦争」も
 日本の商業地のメッカともいえる東京・銀座に、新たな巨大複合ビル「GINZA SIX」(4月20日開業/地上13階、地下6階)がお目見えした。 銀座6丁目にあった「松坂屋銀座店」跡地の再開発事業として進められてきた同施設は、区道を付け替えることで2街区を一体開発したため、敷地面積は銀座エリア最大規模。有名ブランドなど241店が集結した商業エリアに加え、ワンフロア面積が6000平方メートルと六本木ヒルズよりも広く、計3000人が勤務できるオフィスエリアを融合させたことからも、そのスケールの大きさがうかがえる。 GINZA SIXの特色は、とにかく銀座らしく「一流」にこだわり抜いた点にある。仏クリスチャン・ディオールや伊フェンディなど海外の高級ブランドをはじめ、テナントの半数以上が、それぞれ企業やブランドを象徴する大型の「旗艦店」として出店。まさに富裕層を相手に“最高のクオリティを集積”した商業施設といえる。 ターゲットは日本の富裕層ばかりではない。年々増加する訪日外国人客の取り込みを意識したつくりになっているのも特徴的だ。〈和〉や〈伝統〉をコンセプトにした逸品を揃えるテナントが随所に配置されているほか、地下3階に設けた「観世能楽堂」は大きな外国人でも座りやすいよう席幅を広げている。 また、観光案内や手荷物預かりの機能をもった「ツーリストセンター」、大型観光バスの乗降場を設けたのも、外国人観光客が銀座を訪れた際のランドマークにしたいとの意気込みが表れている。 だが、銀座エリアを見渡すとGINZA SIXに限らず、2020年の東京五輪に向けて、あちこちで再開発が進められており、顧客獲得合戦は一層熾烈になるだろう。 商業施設ではすでに昨年3月に「東急プラザ銀座」が開業したほか、今年3月には旧プランタン銀座が新たな商業テナントビル「マロニエゲート銀座」に衣替え。6月には免税カウンターや電子決済システムを導入した生活雑貨専門店「ロフト」も銀座店をオープンさせる。 そして、商業施設とともに整備が急ピッチで行われているのがホテルだ。銀座エリアでは、すでに明らかになっているだけでも2020年までに7軒の新規ホテル開業で1144室以上の客室増加が見込まれている。 森トラスト、三井不動産、名鉄不動産、相鉄イン、ヒューリック……さまざまな企業がホテル開発に名乗りを上げる中で注目を集めそうなのが、自社所有の土地活用でホテル誘致を掲げる「朝日新聞vs読売新聞」の新聞社対決だ。 経済誌『月刊BOSS』編集委員の河野圭祐氏がいう。「朝日新聞は今年10月の竣工予定で、銀座6丁目の並木通りにある『銀座朝日ビル』を建て替えます。生まれ変わるビルは、低層階をブランドショップなどが入る商業施設フロア、3階以上は高級外資系ホテルの『ハイアット セントリック銀座東京』になります。 一方、読売新聞も自社保有する銀座3丁目の旧プランタン銀座(現マロニエゲート)の裏手で、並木通りに面した区画の再開発にも乗り出します。こちらも朝日同様、低層は商業、上層はホテルとして利用するのを基本に、事務所用途としても使える造りにする計画です。 同じ並木通り沿いの3丁目と6丁目に分かれ、読売と朝日のライバル新聞社がホテル事業で激突するのは興味深い展開といえます」 いずれにせよ、新しい高級ブランドビルやラグジュアリーホテルが続々誕生することにより、歴史ある街並みが一変しそうな銀座──。果たして各事業者の思惑通りに収益を上げることができるのだろうか。「銀座エリアの再開発は、五輪を見据えたインバウンド狙いで沸騰している状態ですが、外国人観光客の“爆買いブーム”が短期間で萎んだように、五輪特需が終わった後のモノ消費がどこまで旺盛に続くかは疑問です。 そういった意味では、ホテルはサービスも含めたコト消費のポテンシャルはあるでしょう。しかし、銀座に進出したというだけでプレゼンスが高まり、多くのリピーターを囲い込めるほど生易しい時代ではありません」(前出・河野氏) 経済だけでなく、東京の総合的な「都市力」を上げるためにも、銀座の再開発は重要な役割を担っている。
2017.04.20 07:00
NEWSポストセブン

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