実は、額賀派と岸田派は永田町の同じビルに派閥事務所を置き、すでに若手議員が定期的に会合を開く親密な関係にある。額賀派をブリッジに3派(二階派、岸田派)の若手交流が進んでいる構図だ。
焦点は二階氏が安倍三選阻止のために誰を対抗馬に擁立するか。二階氏周辺からはこんな構想が浮上している。
「78歳の二階さんは派閥を託せる後継者を探している。霞が関に睨みが利き、各業界を束ねて利害調整するという田中派のDNAを受け継げる意中の人物は自民党内を見渡しても1人しかいない。
竹下派出身で“七奉行”の1人、梶山静六氏の側近だった菅義偉・官房長官だ。二階さんはいずれ菅さんに跡を継いでもらいたいと考えている」
菅氏は、現在は無派閥だが、急死した鳩山邦夫氏の派閥横断グループ・きさらぎ会の顧問に迎えられた。その鳩山氏の跡を継いだ二郎氏は二階派に入会し、きさらぎ会にも二階派や旧ムネムネ会のメンバーが多い。人脈的にも実力的にも大田中派の盟主としての資格は十分だ。
そうなれば、自民党は安倍首相と菅氏が党を二分して戦う“平成の角福戦争”の大激震に見舞われる。
※週刊ポスト2017年5月26日号