「執行部が懸念しているのは、会員である棋士たちからの反発です。三浦九段の処分を進めたのは執行部ら一部の棋士なのに、連盟全体の予算を使うのはおかしいという不満が根強い。責任の所在を明確にするために、三浦九段の疑惑の告発者にあたる渡辺明竜王に慰謝料を負担させるべきと主張する人たちまでいます。だから、佐藤会長はわざわざ“原資はこれから議論する”という慎重な言い方をしたのでしょう」(同前)

 このタイミングで軽率に具体的な金額と原資を明言してしまうと、一気に連盟の内紛へ発展する可能性があるというわけだ。

「特に、三浦九段を処分した当時の執行部の解任に積極的に動いた一部の棋士は、今回も強い反発を示すだろう。連盟の決定を、棋界全体が固唾を呑んで見つめているのです」(連盟関係者)

 そこを乗り越えて、棋界はようやく正常化に至ることになりそうだ。

※週刊ポスト2017年6月9日号

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