トレンディドラマが流行し、扇子を片手にワンレン・ボディコンの女性がお立ち台の上で踊り狂ったバブル期。女性たちの間で圧倒的な支持を受けたのが、鋭い切れ込みで足の付け根あたりまでを大胆に露出した「ハイレグ」水着だ。今や海辺やプールでハイレグを着ている女性など皆無だが、スポーツの世界ではハイレグが健在だ。
美しさを競うシンクロナイズドスイミングでは水着のデザインも審査員に与える影響が大きい。五輪の公式種目となった1984年(ロサンゼルス)から当初は、多くの選手が大胆な水着で演技していたため、かつては国際水泳連盟が「腰骨の下3cmを超えるカットは禁止」など細かい規定を設けていた。
現在では「道徳的品位を備え」「大きく透けないもの」とするのみだが、審判が不適切だと判断した水着の競技者は出場停止にできると明記されていることもあり、過度なハイレグは事実上NGだという。
「ハイレグに見えるのは、ハイレグ水着に薄い肌色の布を縫い足し、遠目にはハイレグに見えるような工夫をしているからです。脚が長く見える効果は捨てがたいですからね」(担当記者)
速さを競う競泳はどうか。日本代表選手着用モデルを製作するミズノ・グローバルアパレルプロダクト本部の吉井宏見氏が語る。
「以前は脚の動きが妨げられず、泳ぎやすいと思われていたためハイレグが主流でした。しかし現在では身体をできるだけ覆うほうが、筋肉の振動や抵抗を小さくできるため、速く泳げることが証明されています」