三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行で国際畑の人物(三毛兼承氏、高島誠氏)がトップたる頭取に抜擢されるなど国際競争激化を背景に日本企業の人事にも大きな変化が見える。それは航空業界でも同じだ。
「人口減少の影響もあり、航空会社は、国内線単独での事業で成長を見込むことが難しい時代に入りました。国際線が成長の柱であることは間違いなく、乗り継ぎの利便性などで訪日外国人を国内の地方に誘う機能も高めないといけない。
そのため、私たちも多言語化などで国際線予約のバリエーションを拡充しています。世界のあらゆる世代のお客様に寄り添うサービスや商品づくりが求められていると考えます」
そう語るのは全日本空輸(ANA)の執行役員で子会社・ANAテレマートの社長・梶田恵美子氏(55)だ。
航空業界では今年4月から、日本航空(JAL)とANAが再び正面から鎬を削り合う。経営破綻し公的支援を受けていたJALは、国交省から新規路線開設などの制限を受けていたが、3月末で制限期間が終了。
そうしたなかでANAの注目幹部が、インバウンド需要を核とした国際線重視の戦略を明言したことは、日本の2大航空会社の主戦場の大転換を示唆している。航空会社の場合、顧客満足度の高い海外展開のためには、経営トップに「政界とのパイプ」も求められる。ジャーナリストの須田慎一郎氏が指摘する。