料理の味や見栄えを重視するなら、皮をむき、同じ大きさに切りそろえた方がいいが、それでは貴重な栄養素を排除しているようなもの。家庭で料理して自分たちで食べるなら、皮つきで多少色合いが悪くても、栄養がたっぷりの方がいい。
野菜の皮には、実を守る働きを持つために、抗酸化作用の高いポリフェノールが豊富だ。 ごぼうの場合、皮には糖尿病や脂肪の蓄積を予防する「クロロゲン酸」が根の約3倍も含まれている。大根やにんじなんどの根菜は、皮のすぐ下の栄養価が高いため、むいて捨てるより、そのまま食べた方がいい。なすの場合、皮のみに抗酸化成分「ナスニン」が含まれているので、縞目にむくより、切れ目を入れた方がおすすめだ。
大根やにんじんは、葉を切り落として売られていることが多いが、葉には、根にはない栄養素が多く含まれており、栄養価の高い緑黄色野菜だ。にんじん葉には、3倍のたんぱく質と5倍のカルシウム、大根葉には根にないβ-カロテンが3900マイクログラムと、約11倍のカルシウムが含まれているので、むしろ積極的に食べたい食材だ。ただ、葉が根の栄養をどんどん吸収し、葉先から栄養が抜けていくので、購入後はすぐ、根と葉を切り分けること。
かぼちゃを煮る際に、種とワタを取るのが一般的だが、ワタのβ-カロテンは実の5倍もあり、一緒に煮るととろみが出て甘くておいしくなる。種は乾から煎いりして皮をむき、なかの緑の部分を食べれば、コレステロール値を抑える不飽和脂肪酸のリノール酸、ビタミンEなどが摂れる。
また、ピーマンのワタには、血液さらさら効果のある「ピラジン」が皮の10倍で、ゴーヤーのワタは、実よりもビタミンCが豊富だ。ピーマンは、丸ごと焼いて食べるか肉詰め、刻んで食べても◎。ゴーヤーはワタがついたまま切って、チャンプルーや天ぷらにして。
とうもろこしを食べると、実の付け根に白い部分が残ることがある。これは胚はい芽がといい、不飽和脂肪酸のリノール酸やビタミンB群、食物繊維、鉄分、亜鉛が豊富なので食べるべき。硬い芯にも実と同じ栄養素があるため、これを煮出してスープにしたり、ご飯と一緒に炊き込めば、水溶性ビタミンやグルタミン酸などが摂取できる。ひげの部分は、乾燥させてお湯を注げば、カリウム豊富なお茶に。
※女性セブン2017年6月22日号