国際情報

道に痰を吐く行為 もはや中国でも非難と軽蔑の対象に

マナー意識は急速に変化している

 世界が驚いた中国人のマナーだが、意識は変化しているようだ。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 中国人観光客の数は相変わらずだが、彼らのトレードマークの“爆買い”は影を潜めたようだ。例のマナー問題も一段落したようにも思われる。

 実は、道路に好き勝手に痰を吐くなどといった迷惑行為は、いまや中国国内でも非難と軽蔑の対象となっていて、各地で文化摩擦的なトラブルにもなっているのだ。そうした事情を象徴するようなニュースを報じたのが、5月10日付『海峡都市報』である。

 タイトルは、〈道で好き勝手に痰を吐く者を撮影した男性がその仲間に殴打される事件が発生 約10分間も殴打が続いたのに誰一人助ける者なし〉である。

 被害に遭ったのは福州市で保険会社に勤める翁さん(29)だ。彼は日ごろからマナーの悪い行為を見るとスマートフォンで撮影し、メディアに送ったり動画サイトで映像をさらすなどしていたという。

 ある日、翁さんは仕事の帰り道、ビルの付近で道端に座り将棋をしている男性が、自分の周りに痰を吐き散らし、ゴミもポンと投げ捨てている行為に接し、早速、スマホを取り出して撮影補始めた。

 ところがこのとき男性の仲間が翁さんの行為に気付き、彼を取り囲んだ。翁さんに撮影した画像を削除しろと命じ、それを拒否したところ仲間が襲い掛かってきたという。

 最終的に暴行は10分間も続いたというが、勇ましいのは翁さんも最後まで抵抗し、スマホの画像を守ったということだ。翁さんが間もなく警察に駆け込み事件が発覚した。

 興味深いのは、日本であればたとえ迷惑行為をした人物とはいえ勝手に動画を撮影してネットにアップすることは憚れそうだが、中国の弁護士(記事にコメントを寄せた)は、「街中での非文明的行為に対し、動画などの撮影で告発しようとする者に対しては法律的な保護があるべき」との見解を示している。

 中国社会も急速に変わってきているようなのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン
秋篠宮家の長男・悠仁さまの成年式が行われた(2025年9月6日、写真/宮内庁提供)
《凜々しきお姿》成年式に臨まれた悠仁さま 筑波大では「やどかり祭」でご友人とベビーカステラを販売、自転車で構内を移動する充実したキャンパスライフ
NEWSポストセブン
中途採用応募者が急に増えて担当者は困惑(写真提供/イメージマート)
《SNSの偽情報で実害》中途採用に「条件満たさない」応募者が激増した企業、勝手にFラン認定された大学は「少子化の中、学生に来てもらう努力を踏み躙られた」
NEWSポストセブン
趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
日本復帰2戦目で初勝利を挙げたDeNAの藤浪晋太郎(時事通信フォト)
横浜DeNA・藤浪晋太郎を大事な局面で起用する三浦大輔監督のしたたかな戦略 相手ファンからブーイングを受ける“ヒール”がCSの行方を左右する
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
15人の大家族「うるしやま家」(公式HPより)
《ビッグダディと何が違う?》フジが深夜23時に“大家族モノ”を異例の6週連続放送 今、15人大家族「うるしやま家」が人気の背景 
NEWSポストセブン
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン