まず、大連は中国初の航空母艦や、4月に進水したばかりの国産初の空母が建造された軍港都市だ。実は、中国人民解放軍総参謀部傘下の軍機関紙「中国国防報」は昨年12月28日付で、「国産空母の高画質の画像流出には我慢がならない」と題する署名記事を第1面に掲載し、軍事情報の漏えいに強い警戒感を露わにしていた。
しかも、記事は「日本の共同通信社が高解像度の写真をホームページ上に掲載しているが、その写真の撮影者は同社の関係者である」としたうえで、「国産空母は中国の重要な兵器であり、まさにいま建造中だ。関係のない人員が不法に撮影することは厳禁である。極めて安全に保全しなければならないところで、日本の人員がこのような高解像度の画像を撮影することができたことに警鐘を鳴らさざるを得ない」と激しく非難している。
続けて、「軍事機密の保護は国家の安全や政権の安定、戦争の勝敗にも関わってくる。歴史上、機密漏えいによって、極めて重大な打撃を受けた例はよく見られる」と指摘。
そのうえで、なんと120年以上も前の日清戦争(1894~1995年)の例を出して、日本軍のスパイが清軍の兵員輸送船の出発時間を探ったり、日本人の大陸浪人が多数、上陸し、勝手に各地の地理や資源を測定したり、社会調査を行うなどの情報操作を展開したことで清軍敗北の大きな原因となったとの分析を披露しているのだ。
同紙は大連ばかりでなく、海南省三亜で起こり、2016年に公判が終了した機密漏えい事件にも言及。中国初の空母「遼寧」など中国海軍艦船が多数寄港し、海軍基地もある三亜港では「犯罪分子が軍港付近で軍艦の写真を多数盗撮したり、軍艦の寄港情報を詳細に記録し、90回以上にわたって、インターネットで海外に流出。そのなかには軍事機密も含まれていた」ことを明らかにしている。