ライフ

名字でルーツがわかる 佐藤、鈴木、田中、高橋、渡辺の場合

「高橋」のルーツとなった奈良県の「布留の高橋」には今も橋が架かる。撮影/森岡直浩

 NHK『人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!』に姓氏研究家として出演する森岡浩氏はこの分野の第一人者であり、特にこれまで研究されてこなかった庶民の名字の歴史や意味を解明した功績で知られる。近著『名字でわかる あなたのルーツ』で2500を超える名字のルーツを紹介している森岡氏が、同書で明かした名字のヒミツを紹介する。

 * * *
 名字のルーツを調べようとするとき、現代人ならまずインターネットで検索し、あるいは図書館で姓氏事典をめくる。しかし、そこで見つかる“ルーツ”は、実は文献の残る名家・旧家の歴史を紹介したにすぎない。例えば「田中さん」を調べると、藤原家庶流の田中氏や石清水八幡宮神官の田中氏が記載されていることが多いが、全国の「田中さん」のおそらく9割はそれらと無関係で、日本中の里山にいたであろう「田んぼの中に住む田中さん」だった可能性が高い。そうした家系には文献などは残っていないかもしれないが、名字にはれっきとした一族の歴史が込められている。

 そう言うと、「いや、うちの先祖は農民だから、江戸時代までは名字もなかったんだよ」と思う人もいるかもしれない。これは名字に関する誤解の最たるものだ。

 実は社会の教科書には「江戸時代には武士以外は名字を名乗ることができなかった」と書いてある。つまり、「名字はあったけれど、公的に名乗ることを禁止されていた」というだけなのだ。実際には、遅くとも室町時代には農民は名字を持っており、最も古い記録は、和歌山県紀の川市粉河(こかわ)の王子神社に伝わる名つけ帳である。新生男児の名字と名前を記録したこの帳簿は室町時代の文明10年(1478年)以来一度も途切れることなく現在まで続いている。当時から農民が名字を持っていたことを示す証拠といえる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

米国の大手法律事務所に勤務する小室圭氏
【突然の変節】小室圭さん、これまで拒んでいた記念撮影を「OKだよ」 日本人コミュニティーと距離を縮め始めた理由
女性セブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
現役を引退した宇野昌磨、今年1月に現役引退した本田真凜(時事通信フォト)
《電撃引退のフィギュア宇野昌磨》本田真凜との結婚より優先した「2年後の人生設計」設立した個人事務所が定めた意外な方針
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
職場では研究会の運営や、情報誌の編集に当たられているという(4月、東京都八王子市。時事通信フォト)
【ほぼ毎日出社】愛子さま、上司と積極的にコミュニケーションを取って奮闘中 女性皇族議論が進まない状況でますます仕事に没頭か
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
「ホテルやネカフェを転々」NHK・林田理沙アナ、一般男性と離婚していた「局内でも心配の声あがる」
NEWSポストセブン
中森明菜復活までの軌跡を辿る
【復活までの2392日】中森明菜の初代音楽ディレクターが語る『少女A』誕生秘話「彼女の歌で背筋に電流が走るのを感じた」
週刊ポスト
世紀の婚約発表会見は東京プリンスホテルで行われた
山口百恵さんが結婚時に意見を求めた“思い出の神社”が売りに出されていた、コロナ禍で参拝客激減 アン・ルイスの紹介でキャンディーズも解散前に相談
女性セブン
真美子夫人は「エリー・タハリ」のスーツを着用
大谷翔平、チャリティーイベントでのファッションが物議 オーバーサイズのスーツ着用で評価は散々、“ダサい”イメージ定着の危機
女性セブン
猛追するブチギレ男性店員を止める女性スタッフ
《逆カスハラ》「おい、表出ろ!」マクドナルド柏店のブチギレ男性店員はマネージャー「ヤバいのがいると言われていた」騒動の一部始終
NEWSポストセブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者(51)。ストーカー規制法違反容疑の前科もあるという
《新宿タワマン刺殺事件》「助けて!」18階まで届いた女性の叫び声「カネ返せ、カネの問題だろ」無慈悲に刺し続けたストーカー男は愛車1500万円以上を売却していた
NEWSポストセブン
初となる「頂上鼎談」がついに実現!(右から江夏豊、田淵幸一、掛布雅之)
【江夏豊×田淵幸一×掛布雅之の初鼎談】ライバルたちが見た長嶋茂雄秘話「俺のミットを“カンニング”するんだよ」「バッターボックスから出てるんだよ」
週刊ポスト