冨士:いつも庭に穴を掘るって、怒られていて(笑い)。いかにも野育ちって感じでかわいいんですよね。
佐藤:死んで1年になりますが、しばらくは、霊能者の人が「ハナちゃん、そこにいる」と言ってましたね。
冨士:えーっ! ハナちゃん、いくつで亡くなりました?
佐藤:捨て犬だから、いつ生まれたかわからないけど、うちへ来て15年ぐらいですね。
冨士:犬としてはものすごい長生きですね。うちの犬も15才で死んで、お医者さんには「もう泣かないで、喜んであげなさい」って、長生きのことをうんと褒められたんですよ。
佐藤:その前の犬たちは19年と20年、いましたからね。ほったらかすと長生きするんですよ。「グチャグチャ飯」だって、いわゆる愛犬家が読んだら憤慨する文章ですよ(笑い)。
冨士:私はみんなに読ませたくて、近くの喫茶店にも、お医者さんの診療室にも本を置いてきましたよ。『徹子の部屋』でも話しましたけど、90才で亡くなった母が、あそこが痛い、めがねの度数が合わない、って言うのをちゃんと聞いていなかったんです。先生のご本を読んで、「こういうことか」とわかりましたね。
佐藤:齢を取ってみないとわからないことが、いっぱいありますからね。
冨士:申し訳ないことをしたと思って。娘(岩崎リズさん)にも言い聞かせるんだけど、右から左で、何にも聞いてくれないの。
佐藤:こういうのは順番だから、それでいいのよ。
冨士:先生が順番だ、っておっしゃると納得もいくんですけど。でも今日は、先生にお目にかかるのに元気を出そうと思って『レッドブル』を飲んできたんですよ。
佐藤:だっていつも元気じゃないの。
冨士:全然元気じゃないんですってば。私、杖をついてるんですよ。
佐藤:あら、足を痛めたの?
冨士:去年、足首を少し痛めて。20年ぐらい前に折ったんですけど、ずっと具合が悪いんですね。梅雨時とか雨が降ったりすると痛むんです。
佐藤:骨折した時の治し方が、完全じゃなかったのかしら。
冨士:そうかもしれません。車いすのまま舞台をやりましたから。
佐藤:俳優は大変ですね。勝手に休むわけにいかないものね。その点、作家は仮病も使えるから(笑い)。
冨士:そんなまた(笑い)。先生には本当に感心しちゃうの。いつもきれいにお着物を着ていらして。
佐藤:何、言ってるの。それは写真を撮られるから、しょうがないから着ているだけの話で…。
構成/佐久間文子 撮影/太田真三
※女性セブン2017年8月24・31日号