芸能

噺への思いを本に書き磨きがかかった柳家さん喬『雪の瀬川』

広瀬氏が柳家さん喬の名演を語る

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、今回は柳家さん喬と噺との向き合い方について紹介する。

 * * *
 寄席の世界を代表する「正統派の雄」柳家さん喬。芸歴50年を迎え紫綬褒章も受けた今年、彼が初めての著書を出版した。題して『大人の落語』(講談社)。「落語の中の男と女」をテーマに、『芝浜』『幾代餅』『品川心中』『子別れ』等々、自身の手掛ける名作落語20席について解説したもの。芸論や薀蓄ではなく、あくまでも「自分はこういう思いでこの噺をやっている」ということを語っている。そこがいい。落語ファンはそういうものこそが読みたいのだ。

 この本の中でさん喬は、こう書いている。

「落語には演じる型がない。型がないだけに時代によっても変わるし演者によっても変わる。その分、自由度が高くて楽なところはありますが、逆に自分の想像の世界をはっきりさせておかないとお客様に伝わらない」

 まさにそのとおり。演者によって落語は変わる。そこに、落語を聴く醍醐味がある。

 6月5日に東京・深川江戸資料館で、この『大人の落語』の刊行記念落語会が行なわれた。4000円の料金に書籍代(1800円+税)も含まれ、入場者は直筆サイン入りの新刊を受け取る。この会でさん喬は滑稽噺『締め込み』と長編人情噺『雪の瀬川』を演じた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平(左/時事通信フォト)が伊藤園の「お〜いお茶」とグローバル契約を締結したと発表(右/伊藤園の公式サイトより)
《大谷翔平がスポンサー契約》「お〜いお茶」の段ボールが水原一平容疑者の自宅前にあった理由「水原は“大谷ブランド”を日常的に利用していた」
NEWSポストセブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
離婚のNHK林田理沙アナ(34) バッサリショートの“断髪”で見せた「再出発」への決意
NEWSポストセブン
フジ生田竜聖アナ(HPより)、元妻・秋元優里元アナ
《再婚のフジ生田竜聖アナ》前妻・秋元優里元アナとの「現在の関係」 竹林報道の同局社員とニアミスの緊迫
NEWSポストセブン
かつて問題になったジュキヤのYouTube(同氏チャンネルより。現在は削除)
《チャンネル全削除》登録者250万人のYouTuber・ジュキヤ、女児へのわいせつ表現など「性暴力をコンテンツ化」にGoogle日本法人が行なっていた「事前警告」
NEWSポストセブン
水卜麻美アナ
日テレ・水卜麻美アナ、ごぼう抜きの超スピード出世でも防げないフリー転身 年収2億円超えは確実、俳優夫とのすれ違いを回避できるメリットも
NEWSポストセブン
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
遺体に現金を引き出させようとして死体冒涜の罪で親類の女性が起訴された
「ペンをしっかり握って!」遺体に現金を引き出させようとして死体冒涜……親戚の女がブラジルメディアインタビューに「私はモンスターではない」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン