国際情報

中国の貧困現場 病死した父をゴミ焼却場で焼いた息子も

貧困を象徴する出来事も溢れている

 貧困問題は日本でもよく叫ばれるようになっているが、中国の場合はさらにシリアスだ。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 中国人観光客の見せる“爆買い”パワーが、世界の話題となって久しい。いまや、中国に付きまとってきた「貧困」とイメージは遠のきつつある。

 だが、中国政府はいまだ米中関係に触れるとき「最大の先進国と最大の発展途上国」という表現を使うように、国内にはまだまだ「貧困」を象徴する出来事が溢れている。

 というわけで、中国の一部の富裕層の生活とは真逆の、貧困地区発のニュースを見てみたい。

 浙江省嘉興市湖南区でおきた事件である。このニュースについては多くの説明は必要ない。ニュースを伝えた新聞の見出しがすべてを語っている。

〈兄弟二人がゴミ焼却場で病死した父親を焼く 高い火葬代金を節約するため〉

『澎湃新聞ネット』(6月9日付)が伝えている。

 少し情報を補足すれば、焼かれた父親は雲南省から出稼ぎに来ていた農民で、死亡時の年齢は53歳と若かった。病死に疑いはないものの、死亡時は病院ではなく賃貸していたアパートの部屋であったことから病院に行くお金もなかったと推測されている。

 兄弟の年齢は明らかにされていないが、二人も同じように困窮していたことは想像に難くない。

 結局、彼らが節約しようとした火葬の費用は310元、遺体の運搬費用を含めても600元前後(1万円)だったという。

 二人はこのお金が捻出できずに相談した結果、「二人で焼こう」ということに落ち着いたようだ。二人は最終的に地元警察に死体侮辱罪で逮捕された。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
2人は互いの楽曲や演技に刺激をもらっている
羽生結弦、Mrs. GREEN APPLE大森元貴との深い共鳴 絶対王者に刺さった“孤独に寄り添う歌詞” 互いに楽曲や演技で刺激を受け合う関係に
女性セブン
無名の新人候補ながら、東京選挙区で当選を果たしたさや氏(写真撮影:小川裕夫)
参政党、躍進の原動力は「日本人ファースト」だけじゃなかった 都知事選の石丸旋風と”無名”から当選果たしたさや氏の共通点
NEWSポストセブン
セ界を独走する藤川阪神だが…
《セの貯金は独占状態》藤川阪神「セ独走」でも“日本一”はまだ楽観できない 江本孟紀氏、藤田平氏、広澤克実氏の大物OBが指摘する不安要素
週刊ポスト
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト