「症状が安定している慢性疾患や、高血圧症・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病、薬だけで落ち着いているうつ病、不眠症などは、毎月1回の受診が基本。半年に1回は血液採取などの検査のために通院が必要ですが、これと遠隔診療を組み合わせると、通院が楽になると好評です」
皮膚科では、アトピー性皮膚炎などアレルギー系疾患の継続治療などに加え、以下のような場合にも向いている。
「粉瘤(アテローム)ができて皮膚科で切り取ってもらいました。術後は遠隔診療を利用して、スマホに映して確認してもらいました。実は、お尻にできていたので、病院で診てもらうのに抵抗があり、スマホが使えたのはありがたかったです」(20代・男性)
また、治療を中断してしまうことが多い禁煙外来でも、新六本木クリニックで遠隔診療を利用した場合、4回のプログラムを全うした人が約8割近くに。これは、対面診療の約1.5倍だ。ほかにもAGA(薄毛外来)、ED(勃起不全)などを遠隔診療で行うところも多い。
うつ病や引きこもりなどでも、自宅から出るのが難しいケースで遠隔診療が功を奏することがある。
「精神科や心療内科を訪れることに抵抗があるかたも少なくないでしょう。そうした際、遠隔診療が活用できます。たとえば、引きこもりのお子さんについて相談を受けたケースでは、お子さんは家から出られず、強い不安を抱いていました。病院とはいえ、知らない場所で、知らない人に自分のことを話すのは、相当にストレスが強いものです。そんなとき、テレビ電話を使えば、お子さんの様子を直接見ることができます。画面を通じて何度か話をして信頼関係を作ってから、こちらに来ていただくというステップを踏むことができ、治療にも繋げられるのです」(来田さん)
ただし、これはあくまでも“相談”の範囲。精神科はカウンセリングなど対話中心の治療を行うケースが多いとはいえ、薬を扱ったり、検査を行うことも多い。テレビ電話で何回か話しただけでは薬を出すことはできない。治療を開始する際には、通常の医療と同様に、病院で直接対面での診察を受けることが必須条件だ。
※女性セブン2017年9月28日号