成否をわける最大のポイントは、出演者たちのパーソナリティー。現在、カラオケ、ピアノ、ダンス、バンドの4ジャンルを募集していますが、「どれだけスキル、ルックス、キャラクターの優れた出演者が集まるか」で、視聴者の関心度は上下するでしょう。応募だけで魅力的な人材が集まるのか、それともポテンシャルを秘めた人材に声をかけるのか。いずれにしても、出演者たちがフィーチャーされなければ番組は苦戦必至です。
また、特番では審査員の辛口コメントと、異色のロボット採点もインパクトがありました。かつて『三宅裕司のいかすバンド天国』(TBS系)は、審査員の面白さが番組の人気をけん引していただけに、『音楽チャンプ』でも同様の役割が期待されています。ただし、ネット投票などの視聴者目線がない以上、審査結果に対して「なぜ?」「出来レース」などの厳しいツッコミは避けられないでしょう。
海外に目を向けてみると、ワン・ダイレクションらを生んだイギリスの『Xファクター』は継続放送されていますが、アメリカの『アメリカン・アイドル』は昨年15シーズン目で終了。しかし、早くも「来年復活」という動きが報じられるなど、欧米ではオーディション番組の需要はあるようです。
日本の新番組『音楽チャンプ』は、オーディション番組復活の流れを本格化するのでしょうか。個人的には、『スター誕生!』『ASAYAN』『歌スタ!!』などの音楽系だけでなく、『お笑いスター誕生!!』の復活にも期待しています。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。