「そもそも離檀料を払う義務はありません。気持ちとして支払うお布施は1回の法要の2~3倍程度といわれています。寺から200万円を払うよう言われたケースなどもありますが、払う義務はない。話し合いで解決せず手に負えなくなったら、行政書士などの第三者を入れ、手続きを進めてもらいましょう」
また、古い墓では手続きが煩雑になることがある。
「墓地埋葬法ができた昭和23年より前からある墓地は、“みなし墓地”といい、村の共有地をお墓にしていることも多く、お墓の管理者がわからないことがあります。そのため、誰から埋蔵証明をもらえばいいのかわからないことも。困ったら、地元に昔からある石材店や、自治体に相談してください」(吉川さん)
◆見積もりは数社で比較する
では、墓じまいにかかる費用はどのくらいなのか。
「解体、撤去の費用は一般的に1平方メートルあたり8万~15万円くらいです。見積もりに疑問を感じたときは別の石材店に相談してみるのもいいかも。ただ、木の根が隣のお墓に伸びていたなど、やむをえず割高になるケースもあります。見積もりを上回る可能性がどの程度あるかも事前に確認した方が安心です」(吉川さん)
墓じまいは決して簡単ではない。しかし、継ぐ人を失い放置されたままでは、無縁墳墓が増えるだけだ。
「できる時にできる人がやらないと、後の世代になればなるほど墓や親族との関係も薄れ、大変になります」と八城さんは言う。
残された人に迷惑をかけないため、なにより代々の先祖が眠る墓を“身寄りのない”ものにしないためにも真剣に考えたい。
※女性セブン2017年10月5日号