国内

墓の撤去、親族トラブルよくあるが寺に離檀料支払い義務なし

墓じまいのトラブルや注意点とは?

 近年、墓を撤去して遺骨を整理する「墓じまい」が増えている。その背景には、地方の過疎化や少子高齢化によって遠方にある墓を維持できない、墓を継ぐ子供がいないといった事情がある。

 墓じまいには、「墓仕舞い」と「墓終い」の2つの意味があるといわれる。“墓仕舞い”は、維持できない墓をなくして、お参りしやすい墓地に引っ越すというもの。“墓終い”は自分たちの墓を持たずに、寺や霊園に永代供養を頼んだり散骨したりする、名前の通り“墓を終わりにする”ことだ。

 いずれにしても、「墓を更地にするだけでなく、遺骨の行き先を決めるまでが墓じまい」だと終活コンサルタントの吉川美津子さんは言う。

「遺骨の行き先はさまざまですが、その辺に捨てるのは違法です。お墓を継ぐのが難しい人は、将来に備えて自分に合ったしまい方を考えておきましょう」

 とはいえ、いざ実行するとなると不安なことがたくさんある。

◆避けて通れない親族同士のトラブル

 何百件もの墓じまいを見てきた霊園・墓石のヤシロ代表の八城勝彦さんは、「親族同士のトラブルも多い」と話す。

「娘しかいない長男の嫁が、長男(つまり夫)が亡くなった際に墓じまいの相談を夫のきょうだいにしたら、普段は何もしないのに、『長男の嫁だから、お墓の面倒を見るのが当たり前』と反対されることもあります」

 親族の意見に耳を傾けることは大切だが、何度話し合っても折り合いがつかなかったらどうすればいいのか。吉川さんがアドバイスする。

「遺骨の所有者は(民法上)祭祀継承者です。たとえば長男が代々のお墓を守るというのが決まっていれば、長男が遺骨の所有者になり、最終的にはその人が決められる権限を持っています」

◆離檀料を払う義務はない

 トラブルは親族関係だけではない。寺ともめることもある。墓じまいするためには、墓地に遺骨が入っている「埋蔵証明」が必要になるが、離檀料を支払うことを条件にする寺もあり、その金額が火種になる。しかし「事情を説明して話し合えば、トラブルになることは少ない」と吉川さんは言う。

関連キーワード

関連記事

トピックス

6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン