さらに驚いたのは、ウルトラマンジードとともに怪獣と戦うウルトラマンゼロが、ふだんはメガネをかけたサラリーマン、子育て真っ最中のパパ伊賀栗レイト(小澤雄太)の姿をしていることである。イクメンでウルトラマンって。体にゼロが乗り移っているレイトは、怪獣を前にゼロが変身しようとすると「今日は大事な会議が…」と必死に抵抗したりする。人類の危機も大事だが、会議も大事なんですね…。

 変身したウルトラマンの体型は、すっとした細マッチョで今風だが、現れる怪獣はダダとかエレキングとか懐かしい名前もちらほら。しかも、カプセルによって怪獣も二種類が融合して「ペダニウムゼットン」のような強力なものになるのだ。50年の歴史の中で出てきた怪獣はかなりの数になる。このあたりは、幅広い年代のウルトラマンファンを喜ばせる作戦に違いない。

 シリーズ構成は、小説家の乙一が担当していることも話題になった。ふだんはのほほんとバイトしているように見えるリクが、悪ウルトラマンと自分の関係をどう乗り越えるかもポイントになる。思った以上にテーマは深い。
 
 そんなまじめなテーマがあるというのに、私は番組の中でしばしば出てくるダジャレ的決めセリフが気になって仕方ない。たとえば、リクはカプセルで融合変身をする際、YOU GO!(融合)、I GO!HERE WE GO!と韻を踏むし、自らを励ますように言うセリフは「ジーッとしてても、どうにもならねえ!」とジードとかけてくるし。どこに面白フレーズが仕込まれているか、油断できないのだ。

 さまざまな仕掛けのあるシリーズで、龍臣は主題歌にも参加。のびのびと主役を演じている。多くの名子役が、思春期以降、かわいらしさからの脱却で伸び悩む中、子役から特撮ヒーローへと進み、その後、おとなイケメン枠に入るのはよい方法かも。頑張れ、YOU GO!

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