◆診断を受けてほっとしました。じゃあしょうがないよねって
「小学3年生でお医者さんから『アスペルガー障がいです』と診断を受けた時、心底ほっとしました。あ~よかった、教え方とかしつけのせいじゃなかったんだ~って。どんなに教えても覚えられないし、黒板の文字も写せないし、宿題もできない。でも決してさぼってるわけでもない。ひーくんも「自分はなんでできないんだろう」って自分を責めちゃっていたので、なんだ、障がいならしょうがないよねって」(久美子さん)
一方、開人さんは、別の思いを抱えていた。
「ぼくはほっとするというよりも、じゃあこの子はどうやって生きていくんかな、っていう思いが先に来ましたね。不安でした。障がいです、はいそうですか、では、すまないですよね。この子は生きていかなきゃいけないじゃないですか。だから、障がいっていったって、どんなにペースが遅くたって、やらせなきゃ一生できるようにならないって思ってましたね」(開人さん)
「そんな主人とは、けんかじゃないけど、毎日毎日話し合いました。診断したお医者さんがいいことをおっしゃっていたんですよ。『足が悪い人は車椅子に乗ったりするし、目が悪い人はめがねをかける。響くんの障がいは頭の中なので見えないけれど、そういう人たちと同じで、響くんに合う道具っていうのは必ず見つかるから探しましょうね』って。それでひーくんも『よくわからないことがわかるようになるならいいかも』となりました。といっても、彼自身は、この時アスペルガー障がいが何なのか、全然わかってなかったですね。理解したのもつい最近ですから(笑い)。
でもあのころはまだ私たちにも周りにも余裕がありました。小学校は運よくいい先生に恵まれて、今のひーくんというキャラクターを作ってもらいましたし、同級生にも何かと世話をしてもらいました。主人と向き合い、話し合う習慣ができたことが、のちのちよかったのかもしれません」(久美子さん)
※女性セブン2017年10月19日号