盲信的に境先輩に恋をするヒロインのかのん
「この作品の軸は、かのんの『異常なまでの変わらなさ』です。ここまで妄信的にずっと1人の人を変わらずに好きでいつづけるなんて、なかなかできません。できるとしたら、周りの環境が変わっていないからだと思うけど、人は普通、年齢を重ねると、環境も強制的に変わっていく。私自身もそうです。
歳を取ったり、作品が世に出ることで生活も変わったと思う。だからこそ、話数が増えるにあたって、描くかのん自体は変わらないのに、最近は『変わらない』姿がとても際立っているように感じます。もうとっくに自分からは手離れした存在です」
作品を読んだクリープハイプの尾崎世界観氏は、「でも、結局は自分が変わったんじゃなくて、自分以外の周りの目が変わったんじゃないか。相手の中にいる自分の存在が変わっただけで、自分はずっと自分なんじゃないか。きっとそうだ。」と作品への感想を述べている。
人は誰しも、大人になるとどこか変わってしまうもの。だからこそ、不倫という選択だったとはいえ、自分の気持ちに正直なヒロインの「変わらない心」が、多くの読者の共感を呼ぶのかもしれない。