芸能

最後の弟子が語る藤子・F・不二雄氏「漫画に全てを捧げた人」

『ドラえもん物語』では、藤本先生直筆のネームノートも漫画の中に登場。(C)むぎわらしんたろう・小学館 (C)藤子プロ・小学館

 ドラえもんを生み出した漫画家、藤子・F・不二雄さんと、ドラえもんが大好きで漫画家を志した青年を描いた漫画『ドラえもん物語 ~藤子・F・不二雄先生の背中~』が話題を呼んでいる。藤子・F・不二雄さんの元アシスタントで、著者のむぎわらしんたろうさんは言う。

「最近の子どもたちに、ドラえもんの作者のことをもっと知ってほしいという思いがありました。“こんなにすごい人が描いたんだよ”ということを伝えたくて、この漫画を描きました」

 むぎわらさんに、藤子・F・不二雄さんとの知られざる師弟関係秘話を語ってもらった。
 
 * * *
 19才のとき、編集部の紹介で、藤本先生(藤子・F・不二雄)の事務所・藤子プロに入社することになったんです。ずっと憧れていた藤本先生のアシスタントになるのは緊張しましたが、嬉しさの方が勝っていました。だって藤本先生の漫画を、誰よりも先に読めるんですから。それに、ひみつ道具を描けるという喜びもありました。自分が描いちゃっていいの?って。やっぱり「どこでもドア」や「タイムマシン」を描いたときは、本当に嬉しかったです。

 アシスタントは8年間。朝10時に来て、掃除機をかけて、ゴミ捨てたりとかして、原稿が出ていれば原稿をやるという。11時になると先生がいらっしゃり、部屋に入られて。ぼくらは1時になったらお昼休み。2時になると先生が休憩から戻られますので、また作業が始まるという流れです。

自分の作品も見てもらってました。原稿のコピーを渡すとすぐに、びっしりとアドバイスを書き込んで戻してくださって。連載や取材でお忙しいなか、一アシスタントに、ここまでちゃんと書いてくださるんだと、ただただ驚きました。読むと、本当に勉強になりました。例えば、主人公はこういう性格なんだよって伝えたいときに、字で説明しなくても、町の雰囲気とか、空気感とか、ちゃんと背景を描けば伝えることができるんだって。『ドラえもん物語』には、そのとき書いていただいたアドバイスの原稿を、そのまま載せています。

 お茶目な一面もありました。手品が好きで、忘年会があると、その日に百貨店の手品コーナーに行って、自分で手品用品を買ってくるんですよ。それで、宴会の席で説明書を見ながらみんなに手品を披露するんです。で、新聞に水入れて「消えます」なんて言ったのに、ジャバーッと出ちゃった。あれ、おかしいなって(笑い)。

関連記事

トピックス

田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
《父・修被告よりわずかに軽い判決》母・浩子被告が浮かべていた“アルカイックスマイル”…札幌地裁は「執行猶予が妥当」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン