国際情報

中国で増加する「ペットの当たり屋」その手口とは

愛犬家も標的に(写真:アフロ)

 これも深刻な格差社会ゆえの事象なのか。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 走る車にわざとぶつかって賠償金を取ろうとする──。洋の東西を問わず、貧困地域でよく聞かれる話で、これを「当たり屋」という。もちろん「当り屋」は中国にもたくさんいて、富裕層から金をとろうとする者は後を絶たない。なかには酷い事故につながるケースもあり、関連する報道も頻繁に見かける。

 だが、中国社会では最近、車をターゲットにするのではなく、ある別の方法によって金持ちから、お金をせしめようとする行為がはやっているという。それこそペットに自分を咬ませて、賠償金を狙うというものだ。中国では、「ペットの当たり屋」行為というそうだ。四川省の『成都商報』(2017年11月22日)が報じている。

 一口に「ペットの当たり屋」といっても手口は簡単ではない。単に「咬まれた」といっても一緒に医者に行って医療費を払わせたら、それ以上に取れるのは見舞金程度のものだ。『成都商報』は最近はやりのこうした事件の詳細な例を報じているのだが、それによれば犯罪者たちが使っていたのは、狂犬病のワクチンに絡んで金銭を取得するというやり口だった。

 実は、中国ではいまだに犬に咬まれれば、狂犬病に罹ってしまうリスクを背負い込みかねないという極めて危険な事情が背景にはあるのだ。『成都商報』が報じた今回の事件でも、犬の飼い主が被害者を病院に連れて行くと、真っ先に医者から勧められたのが狂犬病の対策をすることだった。

 当然、その場の対策となるところだが、医者はなぜか注射を拒み始める。理由は、「できるだけ早く故郷に帰らないといけないので、治療費は現金でほしい」というものだった。

 これに不信感を持った加害者が防犯カメラを見直し、疑惑を深めて警察に連絡した。警察の捜査によって事件は犯罪グループによる犯行であることが判明。一人が何らかの方法で犬の飼い主の気を引き、もう一人がそのスキに犬に咬まれるという手口だったという。

 それにしても本当に狂犬病に罹るリスクもあるというのに、目の前の金とは。

関連キーワード

関連記事

トピックス

趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
15人の大家族「うるしやま家」(公式HPより)
《ビッグダディと何が違う?》フジが深夜23時に“大家族モノ”を異例の6週連続放送 今、15人大家族「うるしやま家」が人気の背景 
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン
自殺教唆の疑いで逮捕された濱田淑恵被告(62)
《信者の前で性交を見せつけ…》“自称・創造主”占い師の濱田淑恵被告(63)が男性信者2人に入水自殺を教唆、共謀した信者の裁判で明かされた「異様すぎる事件の経緯」
NEWSポストセブン
米インフルエンサー兼ラッパーのリル・テイ(Xより)
金髪ベビーフェイスの米インフルエンサー(18)が“一糸まとわぬ姿”公開で3時間で約1億5000万円の収益〈9時から5時まで働く女性は敗北者〉〈リルは金持ち、お前は泣き虫〉
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田文雄が「闇将軍」になる亡国自民党ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田文雄が「闇将軍」になる亡国自民党ほか
NEWSポストセブン