佐藤:野田さんは民主党の中でも自他共に認める保守派です。かつて靖国に祀られているA級戦犯は、国内法では犯罪者でないとする意見書を国会に提出したほどです。つまり民主党は党内が持つ最後の保守の力に頼らざるをえなかった。

片山:野田政権の政策は自民党政権と差異がない。そうなると選択は単なる気分や人気の問題になってくる。冷戦構造崩壊後の保守二大政党論が果たして有効だったのか、疑問が深まる時代でした。

佐藤:結局、野田内閣は自爆のような形で解散に踏み切った。野田内閣とは、自民党が再び政権を握る準備期間を担ったと言えますね。

●かたやま・もりひで/1963年生まれ。慶應大学法学部教授。思想史研究家。慶應大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。『未完のファシズム』で司馬遼太郎賞受賞。近著に『近代天皇論』(島薗進氏との共著)。

●さとう・まさる/1960年生まれ。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。主な著書に『国家の罠』『自壊する帝国』など。共著に『新・リーダー論』『あぶない一神教』など。本誌連載5年分の論考をまとめた『世界観』(小学館新書)が発売中。

※SAPIO 2018年1・2月号

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