スポーツ

伊調馨「パワハラ告発」にレスリング関係者が同調しない理由

解決の目処は立っていない(時事通信フォト)

 女子レスリングで五輪四連覇、国民栄誉賞も受賞した伊調馨をめぐる、レスリング協会の栄和人・強化本部長からのパワハラ告発は、長期戦になりそうな気配だ。「パワハラはあった」という声はそこかしこから聞こえるのに、告発を後押しする動きが鈍いことを奇妙に感じる人も多いだろう。なぜ、今回の告発はレスリング界のムーブメントに繋がらないのか。「あの人たちと一緒には、やれないですよ」とつぶやいたのは、女子レスリング指導者のひとりだ。

「栄さんによるパワハラはありました。それは現場を知る関係者なら誰でも知っています。自分の都合だけを考えた日本代表の選びかたを繰り返されたし、それに対する不満もあります。でも、勝手な行動ばかりして、周囲を振り回してきた田南部(力・コーチ)さんと伊調さんが中心にいる問題には、関わりたくないです」

 告発状やその後の報道で、伊調を勝たせたくない栄氏が、東京に拠点を移してから指導を担当した田南部力氏に様々な圧力をかけたとされている。前出の指導者は「圧力は確かにあっただろう」と認めながらも、既成事実を先につくって専属コーチと選手であるかのように振る舞い続けたことは、問題が多いやり方だったと指摘する。

「レスリングは競技人口が少ないので、複数の所属が合同で練習することは普通にあります。そのとき、所属を越えてコーチが指導するのもよくあることですが、あくまでも自分の所属の選手を指導してからの話です。ロンドン五輪までは、当時のフリースタイル代表コーチの責任者が、伊調さんが男子の合宿に加わることを認めたので練習できました。そこで男子代表のコーチだった田南部さんの指導も受けられた。抜きんでて強かったから、男子を相手に練習したいという事情も理解できました」

 とはいえ、田南部氏と伊調の振る舞いは、あまりに身勝手にうつったと、別のレスリング協会関係者は言う。

「男子の合宿で練習している伊調さんの様子は覚えています。最初の頃はそうでもなかったのですが、だんだん、田南部さんがあまりに伊調さんにかかりきりになっているので、男子の指導はちゃんと出来ているのかなと思うようになりました。五輪本番でも、男子コーチとして現地入りしているはずの田南部さんが、男子の試合準備よりも伊調さんにかかりきりで、ちょっとやり過ぎじゃないのかと感じました。そういったことを忠告できる雰囲気でもなく、伊調さんが金メダルをとっているから男子選手も不満を言いづらい。それでも苦言を呈してくれる人がいれば違ったかもしれませんが、そこを導いてくれるような人もいなかったんだと思います」

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン