らくだの弔いが済んで、翌日。「らくだの母」と名乗る上品な女性が長屋に現われ、らくだは実は「相模屋金兵衛」という茶道具を扱う大店の主人だったのだと言う。母の「思いやりのある子でした」という発言に、乱暴者のらくだに手を焼いていた長屋の皆は驚くが、母の話を聞いていくと、漬物屋で悪態をついたり屑屋を虐めたりといった、らくだの一見理不尽な行動の数々にも、すべて真っ当な理由があったのだと判明。さらに大家がやって来ると、らくだがこの長屋に来た「本当の理由」が明かされて……。
談笑ならではのロジックで構築された驚愕の真実。「らくだ」という渾名の由来も解明された『らくだ後日談』、この日限りに終わらせず、磨き上げての再演を期待したい。
●ひろせ・かずお/1960年生まれ。東京大学工学部卒。音楽誌『BURRN!』編集長。1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。『現代落語の基礎知識』『噺家のはなし』『噺は生きている』など著書多数。
※週刊ポスト2018年4月20日号