大峯山の「女人結界」と書かれた石柱(時事通信フォト)
実際に女人禁制に対する反対運動に直面したケースもある。女人禁制とされる修験道発祥の地、奈良県の大峯山に1999年、性差別反対を訴える女性たちが強行登山し、問題になった。
大峯山は男性が修行を行なう場として女人禁制を敷いているため、複数の寺が「信仰者の心を踏みにじる大変遺憾な行為」と強く非難した。今回、取材には応じてもらえなかったが、地元では女性たちも含めて、この伝統を守ろうとする意識が強いという。『女人禁制』の著書がある慶應大学文学部名誉教授・鈴木正崇氏はこう言う。
「一口に女人禁制といっても、禁欲主義に基づくもの、不浄の概念によるもの、仏教の五戒のひとつである“不邪淫戒(=姦淫を禁じる)”によるものなど、さまざまある。
大相撲の土俵の場合は、開催中は神聖な場所として女性に限らず俗人は立ち入れない。一般の男性でも上がることが問題で、表彰式の在り方を見直すべきです。すべて女性差別の問題として批判されるのはおかしいのではないか」
信仰や伝統をどのように維持していくか、現代の価値観にどのように適応していくか。難しい問題を孕んでいる。
※週刊ポスト2018年4月27日号