芸能

石橋蓮司 裏打ちから入る楽器でいえばベースのような芝居

石橋蓮司が自身の芝居について語る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、犯人から刑事役、特撮、現代劇、時代劇と幅広く活躍する役者・石橋蓮司が子役としてデビューした当時や、特技として知られる日本舞踊について語った言葉をお届けする。

 * * *
 石橋蓮司は子役として役者のキャリアをスタートさせており、一九五四年には映画『ふろたき大将』に主演している。

「子役のオーディション会場に来ている木暮実千代さんにおふくろが会いたくて、連れていかれたんですよ。でも、受けないと会場の中には入れないんで、『お前、受けなさい』と言われて受けたら受かっちゃった。

 学芸会とかもやっていたから抵抗はなく自然とやれました。それに『鞍馬天狗』ごっこをやったりして、遊びの中に演技を入れていたんでね。その延長線上みたいなことだったと思います。でも、学業との両立は全然できなくて。成績は落ちてしまって、そのままこれしかできない人間になってしまいました。

『ふろたき大将』の時も、演技を何も考えないでやっていました。お母さんに会えなくてエキストラの子供たちが泣いちゃうような現場でしたから、その雰囲気のまま流れ込むようにやって、役柄の寂しさを出していきましたね。

 子役をやったおかげで、人を観察するのが面白くなりました。好奇心をもって大人たちを見ていたんです。戦後すぐだから、面白い人もたくさんいた。いまだに軍隊式に歩く人、盗みをして逃げる人。そういう人たちを社会の中で目撃しながら、人間のありようを知りました。当時はそこまで分析できていませんでしたが、子供の頃に見たものを大人になって改めて発掘して、焼き直して、自分の生理の中に落としこんでいくという形で、物凄く生きたと思っています」

 子役時代に石橋は日本舞踊を始め、やがて名取りになる寸前まで上達している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の判決は執行猶予付きに(画像はイメージ、Getty)
「何もついてない、まっさらな状態で抱きしめたかった」呼吸器に繋がれた医療的ケア児の娘(7)を殺害した母(45)が語った「犯行時の心情」【執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト