たとえば日本語でいうと、本来は「鴻鵠(こうこく)の志」という発音すべきところを「鴻鵠(こうこう)の志」と読み間違えたようなもの。これだと、全く意味が通じなくなる。
しかも「鴻鵠之志」は極めて有名な四字熟語であり、中学生でも知っておくべきレベルだ。日頃から中国共産党政権に批判的な博聞新聞網は「林学長の学識はあまりにも低い。即刻、学長を辞任すべきだ」などと激しく批判。
中国内のメディアはこの失態については一切報じていないが、香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によると、さすがに式典に出席した学生や来賓からも「学長のレベルの低さに唖然とした」との声が出ているという。
この失態に、林学長は式典翌日の5月5日、大学のホームページに謝罪文を掲載。「親愛なる在校生諸君」との書き出しで、「鴻鵠の発音を間違えてしまったが、実際、私は正しい発音を知らなかった」と自ら明らかにしたうえで、「私が小学校5年生のとき、文化大革命(1966~76年)が始まり、それから数年間、教科書はなく、まともな勉強もできなかった」と弁明。「私の誤りは諸君の失望と侮りを引き起こしてしまった」などと反省の弁を述べている。
これについて、サウス紙の書き込み欄には「プライドを捨てて、謝罪する方が辞任するよりも勇気がいることだ」などと林学長の率直な姿勢を称える声も出ている。