また、画面のブルーライトは脳を刺激し、睡眠障害を起こすおそれがある。睡眠リズムの乱れは、自律神経の失調やうつなどにつながる。
長時間、同じ姿勢を続けることで、首が変形し、本来の湾曲が失われてしまう。いわゆるストレートネックだ。この状態になると、肩こりや頭痛、めまい、手のしびれなどの症状が起こる。
肘を曲げてスマホを持つために、テニス肘のような症状が起き、肘や腕に痛みやしびれが生じる。指の変形や腱鞘炎になる人もいる。これらの健康被害を予防するには、まず長時間、連続使用しないことが原則だ。時々、休憩して、目を休めたり、肩や首、腕、指などストレッチするといい。
デジタル認知症を防ぐには、意識的にアナログを取り入れることをすすめる。スケジュール管理は、手書きの手帳を活用しよう。必要な情報は、メモにまとめておいて、時々見直して覚えるようにするのもいい。
忘れたからといって、すぐにネット検索するのではなく、思い出す訓練をすること。計算も、計算機アプリを使わず、暗算でやってみるといい。ラインやメールのご時世だからこそ、ぼくはあえて筆で返事や礼状を書くようにしている。つまり、全部、スマホで解決しないようにすることが大切なのだ。これらの作法は「生き方の哲学」にもつながる。スマホという道具の奴隷にならないようにしたいものだ。
●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。近著に、『人間の値打ち』『忖度バカ』。
※週刊ポスト2018年5月25日号