経済アナリストの森永卓郎氏
この問題の最大の特徴は、雇い手の企業が労働力確保や人件費抑制といったメリットを即時的に享受する一方、国民全体がデメリットを時間遅れで負担させられることだ。
まず懸念されるのが賃金の大幅な低下だ。現在は人手不足で建設、宅配便、コンビニなどで賃金が高騰している。少し前まで800円前後だったコンビニの時給が、今では1000円以上だ。
だが、安価な労働力が大量に流入すれば賃金は一気に下落する。一橋大学経済研究所所長の小塩隆士教授の試算では、単純労働の外国人労働者が100万人流入すれば、賃金は24%下落するという。
安い労働力が手に入るようになると企業は機械化への投資意欲を失う。設備投資が低迷すれば景気循環が停滞するだろう。
また、経済の仕組みも変わってしまう。建設現場が外国人だらけになるなど、もはや外国人労働者ぬきには経済が成り立たなくなる。外国人に依存した経済で本当によいのだろうか。
行政コストの増加も深刻だ。