低賃金の外国人労働者が増えれば、公的住宅を用意する住宅コストや失業対策コストが跳ね上がる。日本語を喋れない外国人の子供が地元の公立学校に通えば、外国語が話せる職員を用意しなくてはならない。統計はないが、知人の教育関係者たちの話によれば、日本語が話せない児童は日本人児童の5~6倍手がかかるという。
膨大なコストが発生する一方で、単純労働者は所得が低いため、納めるべき税金や社会保険料が安い。つまり諸々のコストで国や自治体の歳出は増えるが歳入は増えず、途方もない財政赤字が発生するのだ。
【プロフィール】もりなが・たくろう/1957年東京都生まれ。東京大学経済学部卒。日本専売公社勤務時代に経済企画庁に出向。UFJ総合研究所などを経て、現在、獨協大学教授。著書に『森卓77言──超格差社会を生き抜くための経済の見方』(プレジデント社刊)などがある。
※SAPIO 2018年7・8月号