「中国人の沖縄ツアー」定番マップ
ツアーに参加していた中年女性に「沖縄は中国の一部だったのか?」と聞くと、
「そうよ。だから彼らはいつも独立したいと騒いでいるのよ」との返事が返ってきた。中国のニュースでは、しばしば「沖縄独立運動」が大きく扱われる。東アジアが近代化する過程において、沖縄は日本に“不当に”併合された。こんな歴史観が、中国人の心のどこかにはあるのかもしれない。
ガイドの女性と雑談をしていたら、こんなことを言われた。
「李克強首相は2015年に、沖縄県知事と北京で対談しました。中国はそれだけ沖縄との関係を重視しているということ。中国人にとって、沖縄と日本はどこか違うものなんですよ」
沖縄は日本であって、日本でない──。彼らの目に映る沖縄の姿は、日本人とは輪郭が異なるのだ。
ツアーを終えて那覇市内を散策すると、街のあちこちで中国語表記が目立っていた。「微信支付(ウィーチャットペイ使えます)」などの文言が並び、繁華街全体が中国人のほうを向いているようにも見える。沖縄の”中国化”は今後どこまで進むのだろうか。
●にしたに ただす/1981年、神奈川県生まれ。早稲田大学卒。地方紙記者を経てフリー。著書に『ルポ 中国「潜入バイト」日記』(小学館新書)、『この手紙、とどけ!』(小学館)、『中国人は雑巾と布巾の区別ができない』(宝島社新書)などがある。
※SAPIO2018年7・8月号