習近平政権による「浄化」が進む中国。拝金主義的な価値観がはびこる一方で、なくならない犯罪もある。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。
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中国ではレンタルを表現するとき「出租」を頭につけるケースが多い。(厳密に言えばレンタルではないが)例えばタクシーの場合には「出租汽車」となる。ちなみに中国語を使う台湾では、「計程車」だ。
極めて便利な「出租」という言葉だが、これを妻の上につけるととんでもない意味になる。「出租妻子」。いわゆる「レンタル妻」であり、妻に売春させることだ。
1992年、「南巡講話」という中国が本格的に経済発展へと向かう号砲が鳴らされ、ほどなく「向銭看」(拝金主義)とよばれる時代の価値観が広がるなかで、新聞の見出しにこの「レンタル妻」の文字が躍ったときには大層驚かされたが、こうした犯罪はずっとなくならずに続いているようだ。
6月1日、浙江省秀洲の警察は内偵で追いかけていた売春グループを摘発した。このニュースに絡んでメディアが注目したのは、警察署に勾留された売春婦10数名のなかの二人は、子供を産んだばかりであったということだ。しかも、その出産したばかりの女性の一人は、ホテルまでの送迎をしていた運転手で、犯罪グループのメンバーの妻であったというから驚きだ。
売春婦は最も下が21歳。最も上が25歳。一日平均10回の売春をさせられていた。