国内

性的犯罪の通報率は2割以下、未遂であっても110番する癖を

出典/法務省『犯罪白書』(平成24年調査)

 不審者に遭遇した時、小学生の7~8割が抵抗できないという。だからこそ被害に遭わない習慣が大切。犯行が起こりやすい場所や時間の傾向を知って対策を立てよう。

 不審者に遭遇した時に抵抗できた子の割合だ。中学生以上でも、半分以下。年齢が下がるほどさらに難しくなる。ならば、最初から被害に遭わないようにするしかない。科学警察研究所犯罪予防研究室室長の島田貴仁さん(「」内以下同)は、こう提言する。

「まず、どんな時間帯、どんな場所、どんな状態だと不審者に会いやすいかを、親子ともに知ることが第一です」

 警視庁の調べによると、小学生が狙われやすいのは、平日の午後4時頃。つまり、下校後に塾や友達の家に行く時などが多い。狙われやすい場所は、集合住宅の場合、階段や廊下、エレベーターだ。

 この時間に出かけるな、この場所に行くなというわけではなく、いつもより気をつけようという意識を持つことが大切なのだ。

「犯罪者の約36%が、被害者が1人でいたから狙ったと答えていますが、実際は子供が2人以上でも被害が起きています。子供だけで出かける時は特に注意し、行く場所は必ず聞き、帰宅時間も決めておくのがおすすめです」

 連れ去りは一瞬だ。帰宅時間が5分遅れたら、車で市区外まで連れて行かれているかもしれないし、無事帰ってきたとしても何かあった可能性がある。

「性的犯罪の通報率は2割以下と非常に低く、ほとんどが声を上げられないまま泣き寝入りをしていることを知っておいてほしい」

『警察白書』によれば、略取誘拐事件は毎年100件前後報告されているが、未遂や報告に上がってこない分を考えると、実際に起きているのはさらに多いといわれている。特に子供の場合、親を心配させる、怒られるのではないかと話せず、ますます心の傷を深めるケースも少なくない。

◆未遂であっても110番する癖を

 島田さんは、万一被害に遭った場合、また遭いそうになった時でも、ためらわずに通報してほしいと強調する。

「怪しい人物や車を目撃しただけでもいいんです。気軽に110番してください。警察側としても、知らせてもらうメリットは大きいのです。

 子供や女性への声かけなどは、ある場所で一度起きると、遠くない将来、同じような場所で犯罪が起きるということが最近の研究でわかりました。そうなると、1件でも多く、少しでも早く情報を知らせてもらった方が、警察としても警戒しやすいのです」

 そうはいっても、性被害は人に話しづらいケースが多い。110番がしづらい時や、事件から日数が経った時は、全国統一の性犯罪被害相談電話を活用してほしい。

「『♯8103』を押すと、発信した地域を管轄する各都道府県警察の性犯罪被害相談電話窓口につながります」

 対応するのは、犯罪被害者の心理について教育を受けた専門家。未遂でも、時間が経っていても、電話をかけることで、次に狙われる子供の被害防止につながるかもしれない。勇気を出してダイヤルしてほしい。

※女性セブン2018年8月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

日米通算200勝を達成したダルビッシュ有(時事通信フォト)
《ダルビッシュ日米通算200勝》日本ハム元監督・梨田昌孝氏が語る「唐揚げの衣を食べない」「左投げで130キロ」秘話、元コーチ・佐藤義則氏は「熱心な野球談義」を証言
NEWSポストセブン
ギャンブル好きだったことでも有名
【徳光和夫が明かす『妻の認知症』】「買い物に行ってくる」と出かけたまま戻らない失踪トラブル…助け合いながら向き合う「日々の困難」
女性セブン
破局報道が出た2人(SNSより)
《井上咲楽“破局スピード報告”の意外な理由》事務所の大先輩二人に「隠し通せなかった嘘」オズワルド畠中との交際2年半でピリオド
NEWSポストセブン
河村勇輝(共同通信)と中森美琴(自身のInstagram)
《フリフリピンクコーデで観戦》バスケ・河村勇輝の「アイドル彼女」に迫る“海外生活”Xデー
NEWSポストセブン
《私の最初の晩餐》中村雅俊、慶応大学に合格した日に母が作った「人生でいちばん豪勢な“くずかけ”」
《私の最初の晩餐》中村雅俊、慶応大学に合格した日に母が作った「人生でいちばん豪勢な“くずかけ”」
女性セブン
『君の名は。』のプロデューサーだった伊藤耕一郎被告(SNSより)
《20人以上の少女が被害》不同意性交容疑の『君の名は。』プロデューサーが繰り返した買春の卑劣手口 「タワマン&スポーツカー」のド派手ライフ
NEWSポストセブン
ポジティブキャラだが涙もろい一面も
【独立から4年】手越祐也が語る涙の理由「一度離れた人も絶対にわかってくれる」「芸能界を変えていくことはずっと抱いてきた目標です」
女性セブン
生島ヒロシの次男・翔(写真左)が高橋一生にそっくりと話題に
《生島ヒロシは「“二生”だね」》次男・生島翔が高橋一生にそっくりと話題に 相撲観戦で間違われたことも、本人は直撃に「御結婚おめでとうございます!」 
NEWSポストセブン
木本慎之介
【全文公開】西城秀樹さんの長男・木本慎之介、歌手デビューへの決意 サッカー選手の夢を諦めて音楽の道へ「パパの歌い方をめちゃくちゃ研究しています」
女性セブン
大谷のサプライズに驚く少年(ドジャース公式Xより)
《元同僚の賭博疑惑も影響なし?》大谷翔平、真美子夫人との“始球式秘話”で好感度爆上がり “夫婦共演”待望論高まる
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
男装の女性、山田よねを演じる女優・土居志央梨(本人のインスタグラムより)
朝ドラ『虎に翼』で“男装のよね”を演じる土居志央梨 恩師・高橋伴明監督が語る、いい作品にするための「潔い覚悟」
週刊ポスト