占いの類はあくまで本人が参考にするもの。結果が気に食わないからといって占い師を攻撃するとすればお門違いもいいところだが、中国ではそんな事件が実際に起きたという。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。
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風水が「良い」とか「悪い」とか、そんな話は日本にもあふれている。しかし、中国社会において風水が果たす役割は比較にならないほど大きい。風水師に支払われる報酬も莫大で、富裕層が家を建てる時に依頼する風水師の報酬で億を超えるケースなどざらである。
風水をみることのできるのは、道教の導師から仏教の僧、民間の特殊能力者などさまざまで、以来の中身も土地の吉凶から、健康、先祖の墓、近未来の自分の運命など広い範囲に及ぶ。中国人のコミュニティーの中では口コミで「どこそこにすごい能力をもった先生がいる」という噂が常に飛び交っていて、誰もがそうした情報に敏感である。
ビジネスに失敗すれば、それを風水のせいだと考える者も多い。そんな中国にあって、さもありなん、という事件が起きた。高い料金を払って依頼したのに、風水師がいい加減なことをいったと怒り、暴行を加え、刀で脅し、最後には恐喝してしまったという事件だ。
発端は、四川省南充市の劉という人物が母の葬儀の日時を決めるのに、友人を介して風水師に依頼したことだった。
だが、劉は別の友人からその日が「忌日」であることを指摘される。疑問に思った劉が複数の風水師に意見を求めたところ、やはり良い日ではないとの指摘を受けた。
このことで母の葬儀が出せなくなったことに腹を立てた劉は、前述したように風水師を暴行し、無理やり賠償金を取り立てたのである。今年六月末、南充市高坪区の裁判所が劉に対して懲役8ヵ月、罰金3000元(約5万円)を言い渡したことを『法制晩報』が報じている。