1948~1952年の4年間、GHQの占領統治下で導入されたサマータイム経験者である外山滋比古氏(お茶の水女子大学名誉教授)はこう嘆く。
「70年前、政府がサマータイムを導入したことで大きな混乱が起きました。あの時、地理的な条件や文化の違いを考慮せず、欧米の制度を無批判に取り入れることの危うさに国民は気づいたのです。だからこそ政府も4年で取り下げた。
ただ、その頃に一人前の大人として仕事をしていた人は、現在では90歳を超えていますから、今回の政府の方針が誤りとわかっていても、表立って強い反対の声を上げる元気がないのではないか。だからといって、欧州を真似するだけの議論を持ち出してくるのは、あまりにも幼稚であり、国民を馬鹿にした考えですよ」
※週刊ポスト2018年8月31日号