葬式は、やりません。僕が死んだら、お坊さんにお経を読んでもらってすぐ焼いてもらう。親族だけの密葬です。告別式はやりません。だって、義理で参列しなきゃいけない人にとっては迷惑でしょう。自分が死んで誰かに手間をとらせることはしたくない。密葬のために、最期の言葉は録音して残そうかなとは思っています。「今日はありがとう、気をつけて帰ってくれ」とね。
来年、75歳という年齢を迎えるにあたり、僕は家業であるニッコク(水道メーターの製造販売)の社長を退任します。事業継承というのは、規模の小さな会社であるほど揉めるものなんです。だからこそ、そうしたことが起こらないようにしたいんです。
特にうちの場合は、次男がテレビ局を辞めて行くところがないので、入れるつもりもなかったけれど結局うちにいる。そこにもう一人、株を持っている長男がいる。まだ若造だから社長に就ける年齢ではありません。別の者が会社を担い、身内が社長適齢期の60歳近くなった段階で、会社が認めて本人たちにもやる気があれば、社長に就任できる道筋を整えておかなければならない。75歳から3、4年は私も経営をじっくり見ますよ。場合によっては再復帰しなくてはならないかもしれない。
うちには子供が3人、孫が8人いるけれど、残されたモノで争ってほしくない。「欲」っていうのは嫌だね。日頃はカッコいいことばかり言っている奴に限って欲があるというのも随分と見てきたから、子供や孫にはいがみあってほしくない。