◆要支援・要介護者が安心して乗れる「介護タクシー」
一方、要支援・要介護者やいろいろな不自由のある人向けなのが、『介護タクシー』だ。
「『介護タクシー』という名称は法規上の正式名称ではなく、福祉輸送事業限定というカテゴリーになります。つまり一般のタクシーが誰でも利用できるのに対し、乗車対象者が“公共交通機関での移動が困難な人”限定。移動が困難なら、要介護認定がなくてもOK。用途に制限はなく、観光などに利用するのも可能です。ただし各事業所への予約が必要になります」
『介護タクシー』も一般的に、車いすやストレッチャーが載るためのリフトやスロープなどの設備が整った福祉車両が多く使われる。また、介護保険が適用になる『介護タクシー』もある。
「介護保険を使う場合は、利用できるタクシー(『介護保険タクシー』と呼ばれる)や利用条件が変わってきます。『介護保険タクシー』は、ケアマネジャーが作成するケアプランに利用が盛り込まれ、介護保険指定事業所が運営する事業者と契約する必要があり、用途も通院・通所、行政、金融機関の手続き、選挙などに限定されます。
訪問介護の1つなので、乗務員は必ず介護職員初任者研修などの資格を持ち、乗車前の支度から降車後の介助までサポートしてくれます。その点、介護保険適用外の『介護タクシー』は必ずしも乗務員の介護資格が必要ではないので、身体介助が必要な場合は予約時に相談しましょう」
『介護タクシー』に介護保険を使いたい場合は、まずは担当のケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談を。
◆「介護タクシー」は事前に料金の確認を
『介護タクシー』でいちばんわかりにくいしくみが料金。
「『介護タクシー』の料金は国土交通省が設定した運賃幅の中の認可運賃+介助料金+予約料金+車いすなどのレンタル料金が一般的ですが、認可運賃は地域ごとに設定された幅の中から、介助料・レンタル料は自由に、タクシー事業所が設定できるのです。
そのため同じ内容、距離を利用しても、使ったタクシー事業所によって数千円以上もの違いが出る場合もあり、事業所とのトラブルの原因の多くが、この料金問題です。初めて使う場合は、予約の時に見積もりを取るなど、しっかりと料金を確認することが大切。また料金について納得のいく説明をしてくれないタクシー事業所は、避けた方がよいでしょう」