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ムンク展の目玉は初来日の『叫び』、目玉が唯一ないバージョン

ムンク展の目玉は?(イラスト/江夏潤一)

 世界的に有名な『叫び』を描いた巨匠、エドヴァルド・ムンク(ノルウェー)の美術展が10月27日から東京都美術館にて開催される。

 今回の『ムンク展』は、初期の代表作から晩年の名作まで約100点が揃い、画家の生涯を辿りながら鑑賞できる。アート鑑賞ナビゲーターの藤田令伊さんは、彼の気持ちを追体験してほしいと語る。

「私は初期のムンクに強く魅かれますが、彼が描くのは“弱者の芸術”。家族の死、恋人との別れなどを通じて、恐怖、不安、憂鬱、嫉妬など、本当は隠しておきたいネガティブな心情を強烈に絵に投影しています。“その気持ち分かるなぁ”とムンクの感情に共鳴した時、彼の作品に一歩近づけるはずです」

 目玉となる“初来日”の『叫び』も見逃せない。学芸員の小林明子さんはこう話す。

「実は『叫び』は、版画を除いて計4点現存し、今回初来日するのは、後期に制作されたもので、唯一目玉が描かれていません」。

 誰もが知る作品だが、今まで4枚のどれを見ていたのか…ムンクの密かな戦略にハマった気さえする。

 誰もが知る『叫び』だが、中央の人物は叫んでいるのか?

「ムンクの制作ノートには、“自然を貫く果てしない叫びが聞こえた”とあり、人物は叫んでいるというよりも、両耳を塞いでいると考えられます」(小林さん)。

 背景と色にも注目だ。血のように赤く染まった夕焼け、グニャリと曲がったフィヨルドが絶望や不安を見事に表現している。

【ムンク展-共鳴する魂の叫び】
・開催期間:2018年10月27日~2019年1月20日
・場所:東京都美術館 企画展示室
・住所:東京都台東区上野公園8-36

※女性セブン2018年10月4日号

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