国内

樋田淳也容疑者の逃走劇の裏に「示差性」「正常性バイアス」

48日間も逃げ延びた樋田淳也容疑者

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人やトピックスをピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、盗んだ自転車で逃亡中、素顔で写真撮影に応じるなど大胆な逃走劇で話題となった樋田(ひだ)淳也容疑者を分析。

 * * *
 大阪府警富田林署から脱走し、加重逃走容疑で逮捕された樋田淳也容疑者の逃走経路や状況が明らかになってきた。山口県周南市、食料品を万引きし、山口県警に現行犯逮捕された樋田容疑者の姿に驚いた人も多かったことだろう。

 なぜならその姿は、大阪府警が公開していた写真とは印象が大きく違ったからだ。白い顔は真っ黒に日焼けし、長い髪は短く刈り込まれ、あごと口にひげを生やし、風貌が変わっていた。それでも、毎日のように情報番組やニュースで公開された写真が流れていたのだから、自分ならきっとわかったはずと思う人もいるだろう。ところが実際は、万引きで逮捕されるまで、樋田容疑者は発見されなかったのだ。

人は、相手の顔や顔写真を見た時、その人の特徴的な部分を記憶しやすく、それによって相手の顔を再認する。また無意識のうちに、その特徴をデフォルメしたり、自分がイメージする方向に相手の顔を調整するという、認知的な偏りであるバイアスを持っているため、同じ顔と認識するのが難しくなる。

 もう1つ、顔認識における「示差性」の低さが関係していると思うのだ。示差性とは、顔の目立ちやすさの程度のことである。示差性が高ければ人ごみの中で目立つが、樋田容疑者の顔は目立ちやすいとは言えない。だが、示差性が低い顔は、表情を変えることで、顔の特徴すら変えてしまうのだ。逃走犯と聞けば、人目を避け、帽子を深く被り、下を向いて歩いてるようなイメージが強い。だが、樋田容疑者と自転車で同行し逮捕された男性によると、彼は人懐っこくよく喋ったという。残された写真を見ても、表情は明るく、出会った人たちとも交流していたようだ。そのため樋田容疑者を前にしても、公開された写真と目の前の人物が同一人物だとは誰も気付かなかったのだ。

関連記事

トピックス

愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
イメージカット
「有名人なりすまし広告」の類に“騙されやすい度”をチェックしてみよう
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン