一方、東日本では重大な医療事故が目立つ。2014~2015年には、群馬大学医学部附属病院や千葉県がんセンターで、過去、腹腔鏡手術のあと患者が相次いで死亡していたことが発覚。

 さらに、東京慈恵会医科大学附属病院で、肺がんの疑いがある男性の画像診断報告書を主治医が確認せず、約1年間放置した問題(2017年)や、東京女子医科大病院で抗てんかん薬を投与された女性が副作用で死亡した問題(2014年)など、医療事故の多さは医療レベルの低さを示している。

 こういうと、「東京に集中する全国メディアが報じるから目立つだけ」と反論する人がいる。しかし、医療の質につながる指標として大学病院の医師100人あたりの臨床論文発表数を調べてみると、上位4位まで非関東圏の医学部が占め、京大(1位)、阪大(3位)、神戸大(10位)と関西圏の医学部が健闘している。

 医学研究への力の入れ具合が、地域の医療レベルに反映しているのではないか。

●かみ・まさひろ/1968年兵庫県生まれ。1993年、東京大学医学部卒業。1999年、同大学大学院医学系研究科博士課程修了。東京大学医科学研究所特任教授などを経て2016年よりNPO法人医療ガバナンス研究所を立ち上げ、研究活動を続けている。『日本の医療格差は9倍』(光文社新書)、『病院は東京から破綻する』(朝日新聞出版)など著書多数。

※SAPIO2018年9・10月号

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