橋本君の寮生活での指導係だった上級生は、1年生で箱根駅伝に出場したエース格で、今季の箱根路でも主力区間を任されることが確実視されている。他にも暴力行為があったとされる上級生には、三大駅伝での区間賞経験者がいる。
当事者の言い分が食い違う場合、第三者による検証がなされて然るべきだが、そうした調査がある場合、箱根駅伝への出走、大会までの調整に影響も出てくる。それゆえ、問題を大ごとにしたくないのでは──被害者側に、そうした疑念が芽生えるのも当然だろう。橋本君の母親は憤る。
「息子が暴言と暴力に耐えかねて寮から姿を消した際も、大学側は帰ってくるのを待っているだけというか、捜索願についても、“(大学として出すには)上の許可が……”といった発言があったり、大ごとにしたくない姿勢に見えた」
そうした不信があって、騒動は拡大した。第三者による検証について、東洋大は「学生間トラブルとして解決を見ているという認識なので、予定はない」とするのみだった。
※週刊ポスト2018年10月26日号