要するに、離婚について責任がある配偶者(有責配偶者)は他方配偶者に対し、有責行為によって離婚を余儀なくさせたことで蒙らせた精神的苦痛に対する慰謝料を支払う義務があるということ。
そうすると、連れ子への暴言を理由に離婚を求めることで、あなたが有責配偶者になるのかが問題になります。連れ子への虐待が原因で夫婦関係が破綻した場合、離婚を認め、虐待した方の配偶者が有責とする例もありますが、ご質問ではむしろ逆の立場です。
とはいえ、子供が落ち込む暴言で婚姻関係破綻といえるかが問題ですし、さらに奥さんが一方的に有責かは疑問です。自分の子供ではない上、初婚の奥さんに子育ては決してラクではなかったはず。育児の苦労に、あなたが果たした役割分担も問われると思います。離婚の決断の前に、子育ての方法等について協議し、改善を図ることを検討してはいかがでしょうか。
ただし、奥さんがこのような努力を払うことを拒否したり、暴言の程度がひどくて虐待と評価できる場合には、あなたが離婚を求めても有責配偶者ではなくなり、慰謝料の支払い義務もありません。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2018年12月14日号