医療経済ジャーナリストの室井一辰さんによれば、乳がん検査「マンモグラフィー」も、最近、アメリカではあまり行われていないという。
「乳がん検診は重視されていますが、マンモグラフィーの有効性への疑問から、“それよりも触診や日々の自己チェックが大切”という考え方が基本になっています。日本のように“マンモグラフィーさえ受ければいい”という考えでは、かえって発見が遅れてしまいかねません」(室井さん)
女性のがん死亡率トップの大腸がんもすぐに手術する日本とは違い、欧米では手術の前後に放射線治療や化学療法など、がんを小さくする治療が行われるのが一般的だ。
さらに最新の研究ではこんな驚きの結果も出た。聖マリアンナ医科大学臨床腫瘍学講座准教授の砂川優医師が言う。
「遺伝子的な解析によって、大腸がんには左右差があることが明らかになっています。右側の大腸がんは薬の効きも予後も悪いことがわかってきました。それを意識して抗がん剤を選ぶといった治療法は、世界から発信され日本にやっと浸透しつつあります」
がん治療において、日本は内視鏡をはじめとする手術そのものの“技術”は世界でもトップクラス。しかし、余計な手術や治療をせずに患者の負担を軽くするとか、最先端の研究成果を取り入れるといった“意識”の面では、海外に遅れを取っているようだ。
※女性セブン2019年1月17・24日号