ビジネス

リクルートスーツ いつから「黒」が定番色になったのか

1990年代前半までは黒のビジネススーツ自体が珍しかった

 就職活動が始まるこの時期、リクルートスーツを購入しに大手紳士服チェーンを訪れる就活生も多いだろう。かつてリクルートスーツの色といえば「紺(ネイビー)」が無難とされてきたが、どうやら近年は定番色も変わっているようだ。ファッションジャーナリストの南充浩氏がレポートする。

 * * *
 私が25年ほど前に就職活動をしていたとき、リクルートスーツの定番色は「紺」だとされていました。就活ノウハウブックにも「紺が無難」と書かれていて、友人も軒並み紺のスーツを着用していました。

 しかし、いつの間にかリクルートスーツの定番は「紺」から「黒」へ変わりました。これはリクルートスーツだけでなく、成人式用のスーツも同じで、私の息子たちが2~3年前に成人式用のスーツを選んだときも、青山、AOKI、はるやまなどの紳士服チェーンすべてで、「定番は黒で、リクルートスーツにも使える」との説明を受けました。

 では、一体いつから定番色が変わったのでしょうか。販売員の人に尋ねてみると、「ちょっと定かではないですが、10~15年くらい前から黒のリクルートスーツが好まれ始めた」とのことでした。

 ちょうど2000年代初頭から後半にかけて、就職氷河期と呼ばれたころからでしょうか。もし氷河期からだとすると、黒のスーツは喪服にも使えて一石二鳥ですので、厳しい経済状況に置かれた若者たちが“着回し”のために編み出した知恵といえるのかもしれません。

 思い返せば、私が社会人になりたての1994年ごろは、まだ黒いビジネススーツ自体が一般の紳士服チェーン店や百貨店の平場のスーツ売り場には置かれていませんでした。

 映画や刑事ドラマなどで二枚目俳優たちに着用されている黒いスーツに憧れ、青山とはるやまに探しに行った思い出もありますが、「黒いスーツをください」と店員にいっても、「略礼服でしょうか?」と逆に尋ねられる始末。しかも、両店とも同じ対応で驚かされました。

「いえいえ、冠婚葬祭に出席するのではなく、テレビや映画で見かけるような黒いモードなスーツが欲しいのです」と言うと、両店とも「あいにく、そういうスーツを当店は置いておりません」との答え。私は「黒スーツは普通のスーツ屋では売っていないのか」と衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。

 そこで、DC(デザイナーズキャラクター)ブランド店をいくつか回ってみると、黒いスーツは目移りするほどたくさんありました。ただし、値段は青山やはるやまのスーツの2倍~4倍くらいしていました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

殺害された宝島さん夫婦の長女内縁関係にある関根容疑者(時事通信フォト)
【むかつくっすよ】那須2遺体の首謀者・関根誠端容疑者 近隣ともトラブル「殴っておけば…」 長女内縁の夫が被害夫婦に近づいた理由
NEWSポストセブン
曙と真剣交際していたが婚約破棄になった相原勇
《曙さん訃報後ブログ更新が途絶えて》元婚約者・相原勇、沈黙の背景に「わたしの人生を生きる」7年前の“電撃和解”
NEWSポストセブン
令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】
【自民党・内部報告書入手】業界に補助金バラ撒き、税制優遇のオンパレード 「国民から召し上げたカネを業界に配っている」と荻原博子氏
週刊ポスト
なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
常に全力笑顔の林家つる子
《抜擢で真打ち昇進》林家つる子、コロナ禍でYouTubeに挑戦し「揺るがない何かができた」 サービス精神旺盛な初代・林家三平一門の系譜
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン